ASD(自閉スペクトラム症)
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ASDとは、生まれつき対人面での困難やこだわりなどの特徴があり、これが続く発達障害です。
子供の頃から続くことがポイントで、幼少期から人間関係がうまくいかないなどがあり、それが大人になっても続くため受診される方が多いです。
ASD(自閉スペクトラム症)の症状
ASDの症状は主に以下の3つがあります。
- 対人面の困難:相手の感情や場の空気を読むことが苦手で、集団でやりづらさを感じることがある。
- こだわり:細かいことにこだわりすぎて急な変化に混乱することがある。
- 二次障害:不適応などが続いた結果、ストレスがたまり、落ち込みや対人不安などの二次的な心の不調が出ることがある。
症状①:対人面の困難(社会性の障害)
対人面の困難は、相手の感情が読み取りにくいことで会話や集団場面で影響が出ます。
例えば、場の空気を読まない失言をしてしまったり、暗黙のルールに混乱することがあります。
その結果、対人関係が作れず孤立することがあります。
また、目が合わず、表情が硬いために第一印象で低い評価を受けることもあります。
症状②:こだわり
こだわりの症状では、細かいことにこだわりすぎて柔軟な対応が難しくなることがあります。
例えば、自分のルールを押し通しすぎてトラブルになったり、急な変化に混乱したりします。
細かい部分に執着し、相手のミスを強く責めてトラブルになることもあります。
症状③:二次障害
二次障害は直接のASDの症状ではなく、ストレスなどによる二次的な不調です。慢性的な落ち込みや対人不安、引きこもりになることがあります。
環境に左右されやすいため、対策が非常に重要です。
ASD対策の3本柱
ASD対策の3本柱は以下の通りです。
- 生活面の工夫:弱点をカバーしながら特性の強みを生かします。
- 薬の治療:ASDそのものへの薬はありませんが、ADHDや二次障害に対する薬を使います。
- 福祉制度の活用:特性を理解しながらサポートを受けて適応を図ります。
対策①:生活面の工夫
生活面の工夫は、診断を受けた方やいわゆるグレーゾーンの方にも有効です。
弱点をカバーし、強みを生かしていくことが重要です。
対人面のカバー
対人面に関しては何となく感じ取りにくいのであれば、理詰めで場に適した行動を推測してカバーする。
表情のカバー
感情表現が得意な人を真似てモデリングをする。
強みの生かし方
こだわりをぶれずにやりきる力に変えたり、空気を読みづらいことは、逆に雰囲気に振り回されずに行動することに活かす。
対策②:薬の治療
ASDそのものに対する薬はありませんが、ADHDを合併している場合には治療薬が有効です。
また、二次障害に対しては抗うつ薬や睡眠薬などが効果を示すことがあります。
対策③:福祉制度の活用
福祉制度の活用として、以下の方法があります。
- 障害者雇用:ASDの特性に合わせた合理的配慮を受けながら、サポートを受けて適応を図る。
- 就労移行支援:最大2年間週3回から5回通所して自分の特性を知りながらカバー方法を探して合う職場を探す。
まとめ
今回は、ASD(自閉スペクトラム症)についてまとめました。
ASDは対人面での困難やこだわりが特徴であり、適切な対策として生活の工夫、薬物療法、福祉制度の活用が重要です。
早期の対応と継続的なサポートが効果的です。
参考文献
e-ヘルスネット:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について
執筆・監修
精神保健指定医 野口晋宏