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全般性不安障害

全般性不安障害とは

全般性不安障害は、日常のさまざまな出来事や状況に対して過剰な不安を感じる疾患です。
慢性的に長期間続くことが多く、他の不安障害やうつ病を併発することが多いです。

全般性不安障害を考える例

幼少期から不安を感じやすく、大きな問題にはならなかったが、仕事に就いてから不安が続き、ミスをするようになりました。
その結果、さまざまなことが不安になり、頭痛や不眠症を併発しました。
不眠の治療のためにメンタルクリニックを受診し、全般性不安障害と診断されました。

疫学

生涯発症率は日本では約3%です。
男女比では女性の方が多く、男女比は1:2とされています。
男性ではアルコール依存との関連が指摘されています。

全般性不安障害の症状と診断基準(DSM-5)

主な症状

  1. 過剰な心配・不安:日常のさまざまな出来事に対して過剰な心配や不安が続きます。不安がある日の方がない日よりも多い状態が6カ月以上続くことが基準です。
  2. 心配を抑えられない:不安や心配を制御できないと感じる。

具体的な症状

次の6つの症状のうち、3つ以上が6カ月以上続くことが診断基準です。

  1. 落ち着きのなさや緊張感:リラックスが難しく、神経の高まりを感じる。
  2. 疲労しやすい:緊張や気疲れで頭が疲れる。
  3. 集中困難:不安や緊張で集中力が欠ける。
  4. 易怒性:イライラしやすく、怒りやすい。
  5. 筋肉の緊張:頭痛や肩こりなど、体の症状が現れる。
  6. 睡眠障害:寝付けない、中途覚醒、浅い眠り。

全般性不安障害のメカニズム

  1. 素因・素質:元から緊張しやすい性質を持つ。
  2. 経験:幼少期や成人期の緊張を強いられる経験。
  3. 脳のセロトニン不足:うつ病とメカニズムが共通し、治療薬も類似することが多い。

全般性不安障害の鑑別疾患(似た病気)

鑑別疾患

  1. 正常な不安:過剰な不安と社会生活への影響が見分けるポイント。
  2. 他の原因による不安:甲状腺の不調やカフェイン過剰摂取など。
  3. 他の精神疾患:統合失調症など、他の症状も確認して見極める。

全般性不安障害の治療

治療は「薬物療法」と「精神療法」の2つに分かれます。

薬物療法

  1. 抗うつ薬(SSRI):第1選択の薬で、効果が出るまでに2から8週かかります。初期に副作用が出ることがあり、急に減らすと離脱症状が出ることがあります。
  2. 抗不安薬:強い不安時に使用する頓服薬。依存のリスクがあるため慎重に使用します。
  3. 漢方薬:効果は弱いが、安全性が高く、粉が苦手な場合は錠剤も選択肢です。

精神療法

  1. 認知再構成:考え方の癖を見直し、別の視点を探します。「破局視」などの不安に結びつく考えを見直します。
  2. リラックス法:呼吸法やマインドフルネスなど、リラックスを促す方法を模索します。
  3. 脱感作法(曝露療法):不安を回避せずに徐々に慣らして克服します。無理をせずに受診中の方は相談しながら進めます。

まとめ

全般性不安障害は、日常のさまざまな出来事に対して過剰な不安が慢性的に続く疾患です。
頭痛や肩こりなど体の症状が目立つこともあり、他の不安障害やうつ病を合併することが多いです。
治療の基本は「SSRI」と言われる抗うつ薬の継続と、考え方やリラックス、脱感作法を組み合わせた精神療法を併用することです。

執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

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