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「つらい」と言わなくなったのに、良くなっていない

以前は「眠れない」「体がしんどい」と何度も訴えていたお父さんが、最近はあまり何も言わなくなりました。

家族としては、少し良くなったのかもしれないと思います。

ところが、以前は毎日楽しみにしていたテレビ番組を見なくなり、食事にもあまり関心を示しません。薬を飲んだかどうかも気にしていないようです。つらそうな表情は減ったものの、元気になったようには見えません。

高齢の方のうつが長引くとき、こうした変化が見られることがあります。

「つらい」と言わなくなったことは、回復のしるしなのでしょうか。それとも、別の変化が起きているのでしょうか。

実は、以前は気にしていたことを気にしなくなったという変化が、病気の見立てを確かめ直す手がかりになることがあります。

同じように動かなくても、心の中は違います

朝、家族から散歩に誘われた二人の高齢者を考えてみます。

一人は「散歩には行きたいけれど、体が重くて行けません。何もできない自分が嫌になります」と話します。

もう一人は、散歩に行かなくなったことを特に気にしていません。誘われても乗り気にならず、外に出られなくなったことを困っている様子もありません。

二人とも散歩に行かなくなっていますが、内側で起きていることは違うかもしれません。

前者は、したい気持ちはあるのに体や心がついてこず、そのことを苦しく感じています。うつでよく見られる状態です。

後者では、何かをしたいという気持ちそのものが弱くなっている可能性があります。このように意欲や関心が乏しくなる状態を「アパシー」と呼びます。

見るところ うつ・抑うつで見られやすい形 アパシーで見られやすい形
気持ち 悲しさ、不安、焦りなどの苦しさがある 感情の動きそのものが乏しくなる
関心 体調の悪さやもの忘れなど、悪い変化を強く気にすることが多い 良いことにも悪いことにも関心が向きにくく、自分自身への関心も薄れる
行動 やりたいのにできず、そのことがつらい やろうという意欲が弱く、動かないこと自体をあまり苦にしない

例えば、以前は体調の小さな変化を気にして何度も家族に尋ねていた人が、最近は自分の体調にも関心を示さなくなったとします。

症状の訴えが減ったという事実は同じでも、良くなったのか、関心そのものが薄れてきたのかでは意味が違ってきます。

アパシーは、脳の血管の病気や神経変性の病気など、さまざまな病気で見られる状態です。病気のかなり早い段階から現れることもあります。

意欲や関心の低下が中心で、アパシーが主体となっている場合には、抗うつ薬を使ってもほとんど効果が得られないことがあります。うつの治療が長引いているときに、この違いを確かめる意味があるのです。

ただし、「悲しくないからうつではない」とも言えません

ここで話を少し複雑にする事実があります。

高齢の方のうつ病では、必ずしも悲しさや自分を責める気持ちが前面に出るとは限りません。むしろ、喜びを感じられない、感情がわいてこないといった状態が目立つことがあります。

この特徴から、「悲しみのないうつ病(depression without sadness)」という考え方も提唱されています。

さらに、重いうつ病では「何も感じられないこと自体が苦しい」という状態もあります。

悲しいわけではないのに、何も感じられなくなったことを本人は強く苦しんでいるのです。

外から見れば、アパシーの人も、こうしたうつの人も、あまり動かず、感情が乏しいように見えるかもしれません。しかし、本人がその状態をどう感じているかは違います。

しかも、うつとアパシーは実際には重なって現れることも少なくありません。

「つらそうならうつ、平気そうならアパシー」と単純に分けられるわけではありません。本人の話と普段の様子を合わせて、慎重に見分ける必要があります。

もの忘れも、最初の診断だけでは決められません

高齢の方のうつを考えるうえで、もう一つ難しいのがもの忘れです。

うつ病の人が「頭が回らない」「考えがまとまらない」「言葉がすぐに出てこない」「物事を決められなくなった」と訴えることがあります。

実際に、うつ病に伴って記憶や注意、物事を進める力などが低下し、認知症に似た状態になることがあります。こうした状態は「仮性認知症」と呼ばれることがあります。

以前は、うつ病による認知機能の低下なら、うつが良くなれば元に戻ると考えられてきました。

ところが、うつ病が改善しても認知機能の低下が残るという報告があります。また、仮性認知症と呼ばれる状態が、その後の認知症の危険因子になるという指摘もあります。

本人の訴え方も、見分ける際の手がかりになります。

うつ病では、もの忘れや考える力の低下を本人が強く気にして、苦しさを訴えることが多いとされています。一方、アパシーでは自分の変化への関心自体が乏しくなることがあります。

ただし、認知症に伴ううつ状態でも本人が認知機能の低下を苦しく感じることはあり、訴え方だけでは判断できません。

うつ病と認知症を早い段階で区別することは、必ずしも簡単ではないのです。

ここで大切なのは、もの忘れの原因を一つに決めつけず、どちらの場合でも、重なっているうつを見逃さないことです。

もの忘れそのものについてはそのもの忘れ、「歳のせい」と言い切れますかに、うつに伴う思考力の変化については頭が回らない・考えがまとまらないに書いています。

原因を探すと、風邪薬や身体の病気に行き着くこともあります

治療が長引いているときに確かめ直すのは、うつと認知症の違いだけではありません。

高齢の方では、身体の病気や服用している薬の影響が、うつや認知症に似た症状を生むことがあります。

例えば、甲状腺機能低下症です。

疲れやすい、寒がる、体重が増える、便秘がある、頭の働きが鈍くなる、気分が落ち込むといった症状が見られます。うつ病や認知症と症状が重なるため、血液検査で確かめることがあります。

慢性硬膜下血腫も、見逃したくない病気の一つです。

いつの間にか頭痛が始まり、ぼんやりする、もの忘れが増える、意欲が出ない、眠気が強いといった変化が現れることがあります。こちらは頭部CTやMRIなどの画像検査で調べる病気です。

つまり、「意欲が出ない」「もの忘れがある」という症状だけを見て、抗うつ薬や認知症の薬を選べばよいわけではありません。

お薬手帳に載っていない薬

薬の影響も見直したいところです。

年齢を重ねると、肝臓での薬の代謝が遅くなったり、腎臓の働きが低下したりして、薬の血中濃度が上がりやすくなります。

持病が増えて服用する薬の種類が多くなると、薬同士の相互作用も問題になります。飲み忘れや飲み間違いも起こりやすくなるため、高齢の方では若い世代より薬の有害な作用が現れやすくなります。

意外なのは、身近な風邪薬です。

市販の総合感冒薬のなかにも、第一世代抗ヒスタミン薬が含まれているものがあります。この成分が、高齢の方の急なもの忘れや落ち着かなさ、幻覚などに関わっている場合があります。

原因になっている薬を中止することで、速やかに症状が改善する場合もあるとされています。

ここで厄介なのが、お薬手帳を見ただけでは、市販薬の使用が分からないことがあるという点です。

病院から処方された薬だけでなく、ドラッグストアで買った薬も確認する必要があります。市販薬の外箱には成分が表示されています。

なお、数時間から数日のうちに急に始まった混乱は、長引くうつの経過とは分けて考える必要があります。身体の病気などが原因で、急いで対応が必要なこともあるためです。

なぜ高齢期のうつは、薬が効きにくいことがあるのでしょうか

高齢の方のうつ病に対する抗うつ薬の評価は、この二十年ほどで変わってきました。

2000年代の初めには、条件をそろえて比較すれば、高齢の方と若い世代で抗うつ薬への反応や症状の治まり方はほとんど変わらない、という見方が優勢でした。

ところが2010年代になると、65歳以上を対象とした研究で、抗うつ薬の効果が偽の薬(プラセボ)を上回らない、あるいは上回っても効果が限られるという報告が続きます。

例えば、55歳以上では抗うつ薬の有効性が示されたのに、65歳以上に対象を絞ると有効性を示せなかった解析があります。

別の解析では抗うつ薬のほうが反応率も寛解率も高かったものの、差は限られていました。薬の種類によって結果が違うという解析もあります。

こうした研究を総合して、高齢期、特に65歳以上では、一般の成人と比べて抗うつ薬の効果が小さく、治療が長引きやすいという見方が示されています。

ただし、これは集団を比較した研究の結果です。65歳を過ぎたら抗うつ薬が効かなくなるという意味でも、個々の患者さんが良くならないという意味でもありません。

認知症にうつが重なることも珍しくありません

認知症のある方に、うつの症状がどの程度見られるかを調べた研究もあります。

報告によって数字には幅がありますが、総説で紹介されている割合は次のとおりです。

認知症の種類 抑うつ気分・うつ状態 うつ病と診断できる水準
アルツハイマー型認知症 抑うつ気分が40〜50% 20〜30%
レビー小体型認知症 うつ状態が20〜60% 20〜33%

いずれも、それぞれの認知症の方を対象に調べた割合です。両者を直接比較した調査では、レビー小体型認知症のほうが、うつ状態も、うつ病と診断できる水準の状態も多いとされています。

さらに、認知症に伴ううつ病では抗うつ薬が効きにくいのではないか、という研究結果もあります。

アルツハイマー型認知症とうつ病を併せ持つ325人を対象にした共同研究では、2種類の抗うつ薬を調べました。

その結果、13週の時点でも39週の時点でも、どちらの抗うつ薬も偽の薬との差が認められませんでした。

この研究だけで、認知症のある方のうつに抗うつ薬が効かないと決めることはできません。

ただ、高齢期に初めて現れたうつの一部が、まだ明らかになっていない神経変性の病気の前ぶれだとしたら、そのような方でも抗うつ薬が効きにくい場合があるのではないか。総説では、そうした可能性が慎重に論じられています。

うつ病の後に神経変性の病気へ移行しやすいことは知られていますが、うつが長引いた期間の長さで、その後の経過が決まるわけではありません。

治療が長引いているから認知症になるという話ではなく、薬が効きにくい理由を考える際に、別の病気が重なっていないかも確かめるということです。

薬を増やす前に、治療の組み立てを考え直します

治療を続けても十分な改善がないとき、抗うつ薬を増やすことだけが選択肢ではありません。

神経変性の病気などが併せてあるかどうかによって、検討する治療も変わってきます。

神経変性の病気などが併せてない場合、高齢の方のうつに有効性が示されている治療として、次の三つがあります。

  • 増強療法:現在の抗うつ薬に別の薬を加える方法です。加える薬によって研究の裏づけには差があり、効果が明確なものは限られます。高齢の方に使う際の慎重さも薬ごとに異なります。
  • rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法):磁気刺激を用いる治療です。高齢の方のうつでも有効性が示されています。
  • m-ECT(修正型電気けいれん療法):全身麻酔のもとで行う治療です。高齢の方のうつに高い効果が示されており、抗うつ薬より速く効果が現れることもあります。

特にm-ECTは、切迫した自殺念慮がある場合、栄養を十分に取れない場合、抗うつ薬に体が耐えられない場合などに選ばれることがあります。

一方、全身麻酔が必要で、健忘などの副作用が起こる可能性もあります。

認知機能については、治療の合間や直後に低下することがあるものの、その影響が半年を超えて続くことをうかがわせる報告はない、という整理がされています。

これらの治療にはそれぞれ特徴があり、単純に効果の強さだけで選ぶものではありません。詳しくは重いうつ病・治療抵抗性うつ病の選択肢|ECTとrTMSをやさしく解説で紹介しています。

もとの病気が分かると、薬の選び方も変わります

神経変性の病気にうつが伴っている場合や、そうした病気の前ぶれとしてうつが現れていると考えられる場合には、もとの病気に応じた治療も検討されます。

例えば、アルツハイマー型認知症に伴ううつの症状です。

認知症の薬であるコリンエステラーゼ阻害薬については、効果が示された研究も、示されなかった研究もあります。

総説の著者は、十分な根拠がそろっているわけではないと断ったうえで、アルツハイマー型認知症という診断が確かであれば、試してみる価値があるのではないかと述べています。確立した効果として紹介されているわけではありません。

パーキンソン病に伴ううつについても、抗うつ薬以外に、診療の指針で使用がすすめられている薬があります。

薬を増量するか、別の薬に切り替えるか、薬を追加するかという一般的な考え方は抗うつ薬が効かないとき――増量・切り替え・増強のどれを選ぶかで詳しく扱っています。

料理を全部代わりにすることが、親切とは限りません

ここまで薬や病気の話をしてきましたが、高齢期のうつを考えるうえで、もう一つ重要なことがあります。

それは、暮らしそのものの変化です。

例えば、定年退職した人が、毎朝決まった時間に出かける必要がなくなったとします。

配偶者を亡くした人は、家のなかで話しかける相手が減るかもしれません。体力が落ちて、それまで担当していた家事や庭仕事をしなくなる人もいます。

高齢期のうつの成り立ちについて、総説では次のような考え方が示されています。

加齢や病気に伴う脳の変化によって、認知の働きが変わり、周囲の状況の変化に柔軟に対応しにくくなることがあります。そこに、大切な人や役割を失う体験、人とのつながりが減ることなどが重なり、うつの発症に関わるという見方です。

こうした背景があるため、神経変性の病気を伴うかどうかにかかわらず、高齢の方のうつでは心理的な関わりや生活環境の調整がきわめて重要だとされています。

薬だけで治療しようとして、こうした働きかけが十分に行われないこと自体が、治療を長引かせる一因になるのではないか、と総説の著者は指摘しています。

何もさせないことと、無理にやらせること

認知症を伴う場合を例にすると、生活環境を整えるとはどういうことなのかが分かりやすくなります。

以前は料理をしていた人が、最近は献立を考えたり、料理の段取りを組んだりすることが難しくなったとします。

家族がすべて代わりに行えば、家事は早く終わります。

一方で、料理の段取りは難しくなっていても、誰かが見守るなかで野菜の皮をむいたり、食材を切ったり、炒めたりする動作はできるかもしれません。

掃除や洗濯、皿洗い、庭の草むしりなども同じです。

認知症の方への対応を扱った書籍では、本人にできる範囲で家事を続けてもらうことが、生活のなかで役割を保つうえで大切だと説明されています。

ただし、できないことを無理にさせるのは逆効果になりかねません。

失敗すると分かっている家事を何度もさせたり、難しい計算問題を無理に解かせたりすると、失敗体験が重なり、不安や意欲の低下につながることがあります。

全部を代わりにするのでも、以前と同じようにできることを求めるのでもなく、今できることを暮らしのなかに残すという考え方です。

活動すること自体を治療に取り入れる

アルツハイマー病に伴うアパシーに対しては、薬を使わない治療について調べた研究もあります。

ある系統的レビューでは、十分に質の高い研究に裏づけられている介入として、「治療的アクティビティー」が挙げられています。

具体的には、本人に合わせて組み立てた行動プログラム、認知機能に働きかける活動、治療的なレクリエーションなどです。

日本のデイサービスは、こうした活動に近いものではないかという見方もあります。

ただし、薬を使わない取り組みのすべてについて、質の高い研究で効果が十分に証明されているわけではありません。認知症の行動・心理症状に対して非薬物的な対応が優先される背景には、薬より危険が少ないことや、薬の効果にも不確実な部分があることなどが挙げられています。

もちろん、アルツハイマー病のアパシーについての研究結果を、すべての高齢者のうつ病にそのまま当てはめることはできません。

それでも、薬の話だけでは見えてこなかった、普段の生活の意味を考える材料になります。

診察で役立つのは、診断名より「前との違い」です

高齢の家族の様子が変わってきたとき、うつなのかアパシーなのか、認知症が関わっているのかを、ご家族が判定する必要はありません。

診察で役立つのは、本人の反応がどう変わったかと、暮らしがどう変わったかという二つの情報です。

例えば、こんな伝え方ができます。

「以前は眠れないことや体調のことを何度も気にしていました。最近はあまり何も言わなくなりましたが、良くなったようには見えません。好きだったテレビも見ず、薬を飲んだかどうかも気にしなくなりました。退職してから外出も減っています」

これに加えて、現在飲んでいる薬や、市販の風邪薬などについても伝えられると、見立てを確かめ直す材料になります。

治療を続けているのに改善の手ごたえがないとき、「つらい」という訴えが減った一方で関心や意欲も薄くなっているとき、食事・睡眠・外出などの変化が続いているときは、診察で取り上げたい変化です。まだ治療を始めていない場合も同じです。

春日メンタルクリニックでは老年期のうつ病のご相談をお受けしており、すでに認知症の診断を受けている方のうつについても診察しています。認知症そのものの積極的な診療や認知機能検査、ECT・rTMSは行っていません。これらの検査や治療を受ける医療機関はご自身でお探しいただくことになりますが、紹介状(診療情報提供書)は必要に応じて作成します。

高齢の方のうつが長引いているとき、本人が以前ほどつらさを口にしなくなると、家族も何が変わったのか説明しにくいかもしれません。

けれども、以前は気にしていたことを気にしなくなった、好きだったことに関心を示さなくなった、暮らしのなかで担っていた役割が減ったという変化には、それぞれ意味があります。

「良くなっていない」という一言だけでは伝わらない、その人自身の変化です。

治療を考え直すときには、そうした日々の様子も大切な情報になります。

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参考にした資料(要約・再構成。原文の転載ではありません):

  • 『精神科治療学』第37巻8号(2022年)の特集より、高齢の方の治療抵抗性うつ病について、神経変性の病気との見分けと併存を扱った総説(馬場元、829〜835頁)。馬場元「治療抵抗性うつ病と高齢者―神経変性疾患との鑑別・併存を巡って―」、星和書店、2022年。
  • 『日常診療に必要な 認知症症候学』、池田学編著、該当節「うつとアパシー」(佐藤晋爾・水上勝義)、新興医学出版社、2014年。
  • 『科学的認知症診療 5 Lessons』、小田陽彦、シーニュ、2018年。

よくある質問

高齢の家族が何もしたがらなくなりました。うつとアパシーはどう見分けますか。

動かなくなったことだけでは判断できません。したいのにできないことを苦しく感じているのか、興味や困りごとへの関心自体が弱くなっているのかが手がかりになります。ただし、悲しさが目立たないうつ病もあり、うつとアパシーが重なる場合もあります。

うつ病によるもの忘れは、うつが治れば元に戻りますか。

うつ病に伴う認知機能の低下は治療によって改善することがありますが、うつが良くなっても残るという報告があります。また、後に認知症へ移行する例もあるため、最初から簡単に区別できるとは限りません。本人がもの忘れを強く気にしていても、それだけでうつ病と決めることはできません。

市販の風邪薬も、うつの診察で伝えたほうがよいですか。

市販薬も伝えてください。総合感冒薬のなかには、高齢の方の急なもの忘れや落ち着かなさ、幻覚などに関わることがある第一世代抗ヒスタミン薬を含むものがあります。お薬手帳には市販薬が載っていない場合があるため、購入した薬の外箱にある成分表示も手がかりになります。

高齢者のうつに抗うつ薬が効かない場合、増量以外の選択肢はありますか。

別の薬を足す増強療法、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)、修正型電気けいれん療法(m-ECT)などが検討されます。ただし、どの治療にも適用範囲や限界があり、神経変性の病気が関わる場合には治療の組み立ても変わります。心理的な関わりや生活環境の調整も重要です。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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