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コンサータが足りない──出荷調整のいまと、薬を切らさないためにできること

薬局でコンサータを受け取ろうとしたら在庫がなかった。次の診察まで持たないかもしれない。いつ届くか分からないと言われた。

ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬コンサータ(メチルフェニデート徐放錠)は、2025年9月から限定出荷が続いています。全国的に需要が供給を上回り、薬局に十分な在庫が確保できない状態です。2026年7月には、国が薬局間で在庫を融通できる特例措置を始めました。2026年10月時点で、解除の時期は明示されていません。

なお、当院ではコンサータの処方は行っていません(ADHD適正流通管理システムへの登録を行っていないため)。ADHDの診療自体は行っており、ストラテラやインチュニブを処方しています。この記事は、いまコンサータを飲んでいて薬の入手に困っている方に向けて書いています。コンサータの効き方や副作用の説明はコンサータの薬剤ページに、ADHDの薬全般の比較は大人のADHDの薬にまとめています。

薬を切らさないためにできること

限定出荷の状況は、患者さんの側で解決できる問題ではありません。ただ、薬が途切れるリスクを下げるためにできることはあります。

残薬を数えておく。 いま手元に何日分の薬があるか、把握しておいてください。残りが1週間を切ったら、次の受診日を待たずに主治医へ連絡する目安です。

切れそうだと分かった時点で主治医に伝える。 薬局で在庫がないと言われたとき、あるいは処方箋をもらう段階で入手に不安があるときは、早めに伝えてください。処方日数を短くして次の受診までの確実性を上げる、一時的に別の薬に切り替える、といった対応を一緒に考えられます。「薬が切れてから」では選択肢が狭まります。

自己判断で量を減らしたり、やめたりしない。 手に入りにくくなったからといって、飲む量を半分にしたり、飲む日を間引いたりするのは避けてください。コンサータは徐放錠であり、錠剤を割ったり砕いたりすることもできません。減らし方には順序があり、主治医と決めることです。

薬局にも聞いてみる。 在庫がなかったとき、2026年7月以降は「ほかの登録薬局から取り寄せることはできますか」と尋ねてみてください。特例措置が始まったため、以前よりは対応できる可能性があります。

すでに薬が切れて生活に支障が出ている場合は、自己判断で以前の残薬を飲み直すのではなく、主治医に連絡してください。

いま何が起きているか

コンサータの製造販売元であるヤンセンファーマは、2025年9月から限定出荷を続けています。限定出荷とは、出荷する量を制限している状態のことです。製造そのものが止まっているわけではなく、「作ってはいるが、必要な量に追いついていない」状態です。

ヤンセンファーマが2026年5月に出した通知では、「限定出荷を解除する見通しが立ちましたら、改めてご連絡申し上げます」としており、解除の時期は示されていません。新規の患者への使用や、すでに飲んでいる患者の用量変更を控えるよう、医療機関にお願いしています。

需要が増えた背景には、ADHDの認知が広がり、診断を受けて治療を始める人が増えたことがあります。この話題では「診断が増えすぎたのではないか」「勉強の道具として使う人がいるから足りないのではないか」という声が出ることがありますが、供給の問題と個々の診断の適否は別の話です。

厚生労働大臣は2026年7月の閣議後会見で、メーカーへの増産要請と適正な購入の指導を継続するとしました。

コンサータは覚醒剤と似た作用を持つ成分を含むため、向精神薬のなかでも最も厳しく管理される「第1種」に分類されています。処方できるのはADHD適正流通管理システムに登録された医師と医療機関だけで、調剤も登録薬局に限られ、患者さん自身の登録も必要です。この管理があるため通常は薬局どうしで在庫を融通できず、不足時に一部の薬局だけに在庫が偏る事態を招きました。

薬局間の在庫移動の特例措置

2026年7月15日、厚生労働省は登録薬局どうしでコンサータの在庫を譲り渡すことを認める通知を出しました。通常は不正流通を防ぐために薬局間の譲渡が禁止されていますが、供給不足が解消するまでの当分の間に限った例外です。

特例の条件は、譲渡・譲受の双方がADHD適正流通管理システムに登録された薬局であること、事前にお互いの登録を確認すること、数量は患者への調剤に当面必要な分に限ること、そして譲渡・譲受を行った日に管理システムを通じて報告することです。患者さんが直接手続きをする必要はありません。

目的以外の使用や他人への譲渡が法律で禁じられていることは、供給が不足しているときでも変わりません。

代替薬という選択肢

ADHDの治療薬はコンサータだけではありません。ストラテラ(アトモキセチン)とインチュニブ(グアンファシン)は、コンサータとは異なるしくみで働く非刺激薬です。どちらもADHD適正流通管理システムの対象ではなく、登録制度のない薬です。

コンサータは飲んだ日から効果を実感しやすい薬ですが、ストラテラやインチュニブは効果がはっきりするまでに数週間かかることが多い薬です。翌日からそのまま切り替えられるわけではありません。それでも、コンサータが安定して手に入らない状況が続くのであれば、別の薬で治療を続けることは現実的な選択肢です。薬の種類が変わっても、治療が途切れないことが大切です。各薬の効き方や違いは大人のADHDの薬で詳しく整理しています。

なお、ストラテラの先発品は2024年9月にニトロソアミン類の検出を受けて新規製造が停止されていますが、後発品の供給は確保されており、2025年6月時点で先発品停止前を上回る供給量に達しています。

当院での対応

当院では、コンサータの処方は行っていません。ADHD適正流通管理システムへの登録を行っていないためです。

ADHDの診療自体は行っています。大人(18歳以上)のADHDの評価と診断を、問診を中心に行っています。当院で処方できるADHD治療薬として、ストラテラ(アトモキセチン)とインチュニブ(グアンファシン)があります。

他の医療機関でコンサータを処方されている方で、供給不足をきっかけに別の薬への変更を検討したい場合は、まず現在の主治医にご相談ください。転院をお考えの場合も、今の主治医と話したうえで進めるほうが、治療の経過を引き継ぎやすくなります。

まとめ

コンサータの限定出荷は2025年9月から続いており、2026年10月時点で解除の時期は明示されていません。厚労省は2026年7月に登録薬局間の在庫移動を認める特例措置を出し、増産も要請しています。

薬を切らさないためにできることは、残薬の把握、早めの連絡、そして自己判断で中断しないことです。入手が難しい状況が続く場合は、ストラテラやインチュニブへの変更も選択肢に入ります。供給の問題は、患者さんの責任ではありません。


コンサータ / 大人のADHDの薬 / ストラテラ / インチュニブ

よくある質問

コンサータの限定出荷はいつまで続きますか?

2026年10月時点で、製造販売元のヤンセンファーマは解除時期を明示していません。「解除の見通しが立ちましたら、改めてご連絡申し上げます」としています。厚労省はメーカーへの増産要請を続けており、2026年7月からは薬局間の在庫移動を認める特例措置も始まっています。

薬局に在庫がなく、処方箋を持ったまま帰されました。どうすればよいですか?

2026年7月から、登録薬局どうしでコンサータの在庫を融通できる特例措置が始まっています。まず、その薬局に他の登録薬局から取り寄せられるか確認してください。それでも入手できない場合は、主治医に連絡し、処方日数の調整や別の薬への変更を相談してください。

コンサータが手に入らないとき、自分の判断で量を減らしたりやめたりしてよいですか?

いけません。自己判断で減らしたり中断したりすると、それまで薬で支えていた集中や行動の制御が急に外れ、生活や仕事に支障が出ることがあります。薬が切れそうなときは、切れる前に主治医へ連絡してください。残量を伝えれば、処方日数の調整や別の薬への一時的な切り替えなど、対応を一緒に考えられます。

コンサータの代わりになる薬はありますか?

ADHDの治療薬にはコンサータのほかに、ストラテラ(アトモキセチン)とインチュニブ(グアンファシン)があります。どちらもコンサータとは効き方が異なり、効果を感じるまでに数週間かかることが多いため、翌日からそのまま代わりになる薬ではありません。ただし、ADHDの治療の選択肢として確かなものです。主治医と相談して、ご自身に合う形を考えてください。

不足しているのは診断が増えすぎたからですか?

厚生労働省は、ADHD患者数の増加に伴う需要の急増を背景に挙げています。ADHDの認知が広がり、診断を受けて治療を始める人が増えた結果、供給計画を上回りました。ただし、供給の問題と個々の診断の適否は別の話です。いま大切なのは、すでに治療を受けている方の薬が途切れないようにすることです。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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