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ストラテラ(一般名: アトモキセチン)は、ADHD(注意欠如・多動症)の治療に使われる非中枢刺激薬です。集中しにくい、落ち着かない、衝動的に動いてしまうといった特性による困りごとを和らげることが期待されます。

コンサータのような中枢刺激薬とは性質が異なり、効果がゆっくり現れること、依存性の心配が少ないこと、登録制度による処方の制限がないことが特徴です。このページでは、その使われ方をわかりやすく解説します。なお、ここでの説明は一般的な情報であり、実際の飲み方は診察のうえで主治医が個別に判断します。

どんな薬か

ストラテラは、脳内のノルアドレナリンという神経伝達物質の働きを高めることで、注意力を保ちやすくし、多動や衝動性を抑えることが期待されるお薬です。「選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」と呼ばれます。

カプセル剤に5mg・10mg・25mg・40mgの規格があり、内用液もあります。1日を通して比較的安定して働くこと、依存性の心配が少ないことから、じっくり治療したい方や、中枢刺激薬を避けたい場合の選択肢になります。ADHDの治療は薬だけでなく、環境の調整や特性の理解と組み合わせて進めることが大切です。

効果と作用の仕組み

ADHDでは、注意や行動のコントロールに関わる脳の働きに、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関係していると考えられています。

ストラテラは、ノルアドレナリンが神経細胞に回収されるのを選択的に抑え、その働きを高めます。中枢刺激薬のようにすぐ効くのではなく、続けることで少しずつ効果が安定してくるのが特徴です。効果の感じ方には個人差があり、すべての方に同じように効くわけではありません。

服用の仕方

添付文書上の標準的な用法は、18歳以上では1日40mgで開始し、1週間以上あけて80mgまで増量、その後は80〜120mgを維持量とする(1日最大120mg)とされています。1日1回または2回に分けて飲みます。18歳未満では体重に応じて量を決めます。いずれもあくまで添付文書上の標準で、実際の量は症状や体質を見ながら医師が調整します。

吐き気が出やすいため、食後に飲むと和らぐことがあります。肝臓の働きが低下している方は、量を減らす調整が必要になることがあります。ほかに治療中の病気やお薬がある方は、必ず診察時にお伝えください。特に一部の抗うつ薬(パロキセチンなど)と併用するときは、血中濃度が上がることがあるため慎重に調整します。

効果が出るまでの期間

ストラテラは、飲んですぐに効果を実感できる薬ではありません。効果が現れるまでに数週間かかることが一般的で、じっくり続けることで働きが安定してきます。

「すぐ効かない」と感じて途中でやめてしまうと、本来の効果を確かめられません。焦らず、診察で経過をお伝えいただきながら、合う量を一緒に探していきましょう。

主な副作用と対処

比較的多い副作用として、悪心(吐き気・31.5%)、食欲減退(19.9%)、傾眠(眠気・15.8%)、頭痛(15.4%)が報告されています。そのほか、腹痛、口の渇き、便秘、下痢、めまい、不眠、動悸なども1〜5%未満でみられます。

吐き気や食欲の低下は飲み始めの時期に出やすく、体が慣れると軽くなることもあります。吐き気は食後に飲むことで和らぐことがあります。つらいときは無理をせず、量の調整も含めて主治医にご相談ください。

まれだが注意したい副作用

頻度はまれですが、重大な副作用として、肝機能障害・黄疸・肝不全、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)が知られています。強いだるさ、皮膚や白目が黄色くなる、食欲不振や吐き気が続く、じんましんや呼吸のしにくさ・顔の腫れなどがあらわれたら、すぐに受診してください。差し迫った状態のときは、ためらわず救急(119)に連絡してください。

また、まれに気分や行動の変化(いらだち、攻撃性、幻覚など)が報告されています。ご本人やご家族が「いつもと違う」と感じたら、主治医にお伝えください。

減らすとき・やめるとき

ストラテラは依存性の心配が少なく、添付文書にも依存や離脱に関する特別な記載はありません。ただし、自己判断でやめると効果を確かめられなくなるため、続けるかどうかは効果を見ながら主治医と相談して決めます。

長期に使う場合は、定期的に「本当に必要か」を見直すことも大切です。減らす時期や中止のタイミングは、生活の状況や効果をふまえて一緒に判断していきます。

生活上の注意

  • 車の運転など: 眠気やめまいが起こることがあるため、添付文書では自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意することとされています。運転の必要がある方は、必ず主治医にご相談ください。
  • 血圧・脈拍: 血圧や心拍数に影響することがあるため、開始前や服用中に定期的に確認します。心臓の病気や高血圧のある方は事前にお伝えください。
  • 妊娠・授乳: 妊娠中の方・妊娠の可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に使用するとされています。授乳中は、治療の有益性と母乳栄養の有益性を考えて方針を決めます。妊娠を考えている方・妊娠が分かった方は、必ずご相談ください。
  • 併用: 一部のお薬(MAO阻害薬など)とは併用できません。ほかに使っているお薬は必ずお伝えください。受診の際はお薬手帳をお持ちください。

当院で処方するとき

当院では、ADHDの診断を丁寧に行ったうえで、ストラテラが適しているかを判断します。効果がゆっくり現れるお薬であることを事前にお伝えし、焦らず続けられるようサポートします。開始前と服用中には血圧・脈拍を確認します。

薬は治療の柱の一つですが、それだけがすべてではありません。環境の調整や特性の理解と組み合わせながら、生活のしやすさを一緒に目指していきます。薬への不安や疑問は、どんな小さなことでも診察でお聞かせください。

参考文献

  • ストラテラカプセル5mg 他 添付文書(2024年4月改訂・第2版) — KEGG MEDICUS掲載の電子添文を参照(参照日: 2026-07-07)

よくある質問

コンサータとどう違うのですか?

ストラテラ(アトモキセチン)は「非中枢刺激薬」と呼ばれ、コンサータのような中枢刺激薬とは性質が異なります。効果はゆっくり現れ、1日を通して比較的安定して働きます。また、依存性の心配が少なく、コンサータのような登録制度による処方の制限もありません。どちらが合うかは、生活の状況や体質を見ながら判断します。

飲み始めてどのくらいで効きますか?

ストラテラは、飲んですぐに効果を感じる薬ではありません。効果が現れるまでに数週間かかることが一般的で、じっくり続けることで働きが安定してきます。「すぐ効かない」と感じても自己判断でやめず、診察で経過をお伝えください。

どんな副作用がありますか?

比較的多いのは吐き気、食欲の低下、眠気、頭痛です。飲み始めの時期に出やすく、体が慣れると軽くなることもあります。吐き気は食後に飲むことで和らぐこともあります。つらいときは無理をせず、主治医にご相談ください。

依存性はありますか?

ストラテラは非中枢刺激薬で、添付文書にも依存・乱用に関する記載はありません。依存性の心配が少ないことが特徴の一つです。ただし、効果や副作用を見ながら使うお薬なので、量や飲み方は主治医の指示に従ってください。

血圧や脈拍への影響はありますか?

ストラテラは血圧や心拍数に影響することがあるため、服用開始前や服用中に定期的に血圧・脈拍を確認します。もともと心臓の病気や高血圧のある方は、事前に必ずお伝えください。動悸や胸の症状が続くときも早めにご相談ください。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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