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インチュニブ(一般名: グアンファシン塩酸塩)は、ADHD(注意欠如・多動症)の治療に使われる非中枢刺激薬です。落ち着かない、衝動的に動いてしまう、イライラしやすいといった特性による困りごとを和らげることが期待されます。

コンサータのような中枢刺激薬とは性質が異なり、眠気や血圧への影響という特徴があります。急にやめてはいけないなど、飲み方にも注意点があります。このページでは、その使われ方をわかりやすく解説します。なお、ここでの説明は一般的な情報であり、実際の飲み方は診察のうえで主治医が個別に判断します。

どんな薬か

インチュニブは、脳の前の部分(前頭前皮質)にある受容体に働きかけることで、注意力を保ちやすくし、衝動性やイライラを抑えることが期待されるお薬です。中枢を刺激するタイプではなく、神経の伝わり方を整えるように働きます。

錠剤には1mgと3mgの規格があり、成分がゆっくり放出される徐放錠です。1日1回飲みます。衝動性やイライラが目立つ場合の選択肢になることがあります。ADHDの治療は薬だけでなく、環境の調整や特性の理解と組み合わせて進めることが大切です。

効果と作用の仕組み

ADHDでは、注意や行動のコントロールに関わる脳の働きが関係していると考えられています。インチュニブは、前頭前皮質のアドレナリンα2A受容体という部分に働きかけ、神経の信号がうまく伝わるように整えます。

これにより、注意の持続や衝動・イライラのコントロールがしやすくなることが期待されます。あわせて血圧を下げる作用もあり、これはもともと高血圧の治療にも使われてきた成分の性質によるものです。効果の感じ方には個人差があります。

服用の仕方

添付文書上の標準的な用法は、18歳以上では1日2mgで開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ増量、維持量は1日4〜6mg(1日最大6mg)とされています。18歳未満では体重に応じて量を決めます。1日1回飲みます。いずれもあくまで添付文書上の標準で、実際の量は症状や体質を見ながら医師が調整します。

徐放錠なので、割ったり砕いたりせずそのまま飲んでください。腎臓や肝臓の働きが大きく低下している方は、少量から始めます。ほかに治療中の病気やお薬がある方は、必ず診察時にお伝えください。特に血圧の薬や、眠気を強める薬との組み合わせには注意が必要です。

効果が出るまでの期間

インチュニブは、合う量に達するまで少しずつ増やしていくお薬です。効果の現れ方はゆるやかで、数週間かけて様子をみていきます。

一方で、眠気は飲み始めから感じやすい傾向があります。効果と副作用のバランスを見ながら、血圧や脈拍も確認しつつ、合う量を一緒に探していきましょう。

主な副作用と対処

最も多い副作用は傾眠(眠気・49.8%)で、約半数の方にみられます。そのほか、頭痛、不眠、めまい、起立性低血圧(立ちくらみ)、口の渇き、便秘なども1〜5%未満でみられます。

眠気は飲み始めや増量時に強く感じやすく、多くは続けるうちに和らいでいきます。日中の眠気が強いときや、立ちくらみを感じるときは主治医にご相談ください。急に立ち上がらないなどの工夫も役立ちます。

まれだが注意したい副作用

インチュニブは血圧や脈拍への作用があり、重大な副作用として、低血圧、徐脈(脈が遅くなる)、失神、房室ブロック(心臓の電気信号の伝わりの異常)が知られています。強いふらつきや立ちくらみ、意識が遠のく感じ、極端に脈が遅いといった症状があらわれたら、すぐに受診してください。差し迫った状態のときは、ためらわず救急(119)に連絡してください。

そのため、服用開始前や量を変えたあとには血圧・脈拍の測定を行い、安定してからも定期的に確認します。

減らすとき・やめるとき

インチュニブは、急に中止すると血圧が上がったり脈が速くなったりすることがあります。そのため、やめるときは自己判断せず、原則として3日以上の間隔をあけて1mgずつ、血圧や脈拍を確認しながら少しずつ減らします。

依存性の心配は少ないお薬ですが、中止の仕方が大切な薬です。減らす時期やペースは、必ず主治医と相談しながら進めてください。

生活上の注意

  • 車の運転など: 眠気や鎮静が起こることがあるため、添付文書では自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意することとされています。特に眠気が強い時期は運転を控え、主治医にご相談ください。
  • 血圧・脈拍: 定期的に血圧・脈拍を確認します。立ちくらみやふらつき、極端な脈の遅さに気づいたらお伝えください。
  • 妊娠・授乳: 妊娠中の方・妊娠の可能性のある方には使用できません(禁忌)。妊娠を考えている方・妊娠が分かった方は、必ずご相談ください。授乳中は、治療の有益性と母乳栄養の有益性を考えて方針を決めます。
  • 併用: 血圧を下げる薬や、眠気を強める薬との組み合わせに注意が必要です。ほかに使っているお薬は必ずお伝えください。受診の際はお薬手帳をお持ちください。

当院で処方するとき

当院では、ADHDの診断を丁寧に行ったうえで、インチュニブが適しているかを判断します。特にイライラや衝動性が目立つ場合に検討されることがあります。眠気や血圧への影響があるため、開始前と服用中には血圧・脈拍を確認し、慎重に量を調整します。

薬は治療の柱の一つですが、それだけがすべてではありません。環境の調整や特性の理解と組み合わせながら、生活のしやすさを一緒に目指していきます。薬への不安や疑問は、どんな小さなことでも診察でお聞かせください。

参考文献

  • インチュニブ錠1mg/3mg 添付文書(2026年6月改訂・第6版、武田薬品工業) — KEGG MEDICUS掲載の電子添文を参照(参照日: 2026-07-07)

よくある質問

眠くなると聞きました。日中の生活は大丈夫ですか?

インチュニブ(グアンファシン)は眠気が出やすいお薬で、特に飲み始めや増量時に強く感じることがあります。多くは続けるうちに和らいでいきますが、日中の眠気が強いときは主治医にご相談ください。運転や危険を伴う作業は避け、状態が落ち着くまで慎重に過ごしてください。

血圧に影響しますか?

インチュニブは血圧を下げ、脈拍を遅くする作用があります。そのため、開始前や量を変えたあとに血圧と脈拍を確認します。立ちくらみやふらつき、強い眠気を感じたときはお伝えください。もともと心臓や血圧の病気がある方は、事前に必ずご相談ください。

急にやめてはいけないのですか?

はい。インチュニブを急に中止すると、血圧が上がったり脈が速くなったりすることがあります。やめるときは、数日以上の間隔をあけて少しずつ減らしながら、血圧や脈拍を確認して進めます。自己判断で中止せず、必ず主治医と相談してください。

コンサータやストラテラとどう違うのですか?

インチュニブは非中枢刺激薬で、コンサータのような登録制度による処方の制限はありません。イライラや衝動性の軽減が期待され、眠気や血圧への影響という特徴があります。どのお薬が合うかは、症状や体質、生活の状況を見ながら判断します。

錠剤を割って飲んでもよいですか?

いけません。インチュニブは徐放性の製剤のため、割ったり砕いたりすりつぶしたりせず、そのまま噛まずに飲んでください。割ると成分が一度に出てしまい、効果や副作用に影響します。飲みにくいときは主治医にご相談ください。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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