練習を始めると、「もうやめたい」という気持ちが出てくることがあります。これは当然のことです。この記事では、よくある「やめたい理由」とその乗り越え方を紹介します。
「こんなことをしても意味があるのか」と感じたとき
練習を始めたばかりの頃は、効果を実感しにくいことがあります。「全然楽にならない」と感じて、やめたくなることもあるでしょう。
しかし、練習の効果は「不安が下がるまで続けること」で生まれます。途中でやめてしまうと、その経験は積み重なりません。
「少しでも不安が下がった」という小さな体験を積み重ねることが、少しずつ変化につながっていきます。
「これだけは無理」という例外を作りたいとき
「他はできるけど、これだけはどうしても無理」と感じる課題が出てくることがあります。
ただ、この「例外」を作ることには注意が必要です。練習で克服した課題があっても、例外として残した部分から症状がぶり返しやすくなることが知られています。
「まずやってみたら、思ったよりあっさりできた」という経験をする方は多くいます。先生と相談しながら、一歩踏み出してみましょう。
「本当に大丈夫?」と何度も確かめたくなるとき
練習中に、家族や先生に「本当に大丈夫ですか?」と繰り返し確認したくなることがあります。
このとき、確認して「大丈夫」と言ってもらうことで一時的に楽になるかもしれません。しかし、「誰かに確認してもらわないと安心できない」という状態自体が確認行為の一種です。
その場しのぎの安心を求めるほど、自分一人では不安に向き合いにくくなっていきます。確認を求めたくなったとき、まず少し待ってみることが練習になります。
「今日は調子が悪いからできない」と感じたとき
体調が悪い日、気分が乗らない日——「今日はやめておこう」と思うことは自然です。
ただ、こうした理由で先延ばしにする癖がつくと、練習がなかなか進まなくなります。「小さくてもいい、1回だけやってみる」という気持ちで取り組むと、思ったよりできることが多いです。
完璧にやろうとしなくていいのです。「今日は1分だけ」でも、やらないよりはずっと前進になります。
「もうこのくらいでいい」と満足したくなるとき
練習を続けていると、「以前よりずいぶん楽になった。もうこれくらいでいい」と感じる時期が来ることがあります。
しかし、途中で練習をやめてしまうと、再び以前の状態に戻りやすくなることが知られています。症状が軽くなってきたときこそ、もう少し続けることが大切です。
「もうこのくらいでいい」と思ったときは、先生に「そろそろ練習を減らしてもいいですか」と相談してみてください。
今週やってみること
この記事の中で、自分に当てはまると思った項目を1つ選んで、次の受診で先生に話してみてください。
次回の受診で話してみるヒント
練習でつまずいた場面を具体的に伝えると、先生と一緒に対策を考えやすくなります。「なぜうまくいかなかったか」を一緒に整理することが、次の一歩につながります。
シリーズ:自宅でできる練習ガイド
- 第1回:不安と確認行為の「悪循環」を知る
- 第2回:自分の「苦手リスト」を作ってみよう
- 第3回:家での練習の進め方——ステップごとの手順
- 第4回:練習中に出てくる「やめたい気持ち」への対処(この記事)
執筆・監修:精神保健指定医 野口晋宏