精神科・心療内科の予約が取れないとき──待つ間にできることと相談先
電話をかけたら「いちばん早くて来月の半ばです」と言われた。ネットで予約を開こうとしたら、向こう3週間すべて埋まっていた。やっと受診しようと決めたのに、予約が取れない。そのまま画面を閉じて、また一日が過ぎる。
精神疾患の外来患者は2002年から2023年の間に約2.6倍に増えています(厚生労働省「令和5年患者調査」による)。予約が取りにくいのは、あなたの行動が遅かったせいではありません。ただ、待っている間にもできることはあります。
まず確認しておきたいこと
予約先に電話で状況を伝える。 ウェブ予約で空きがなくても、電話で事情を話すとキャンセル待ちの対応をしてもらえることがあります。「眠れない」「仕事に行けない」など、いま困っていることを短く伝えてください。
複数の医療機関に問い合わせる。 ひとつの医療機関に限らず、通える範囲の精神科・心療内科に問い合わせてみてください。初診の枠は医療機関ごとに異なります。
すでに通院中の方は、いまの主治医に相談する。 転院を考えている場合でも、次の医療機関の予約が確保できるまでは、現在の医療機関で治療を続けるほうが安全です。処方が途切れることを防ぐためです。転院の進め方については転院・セカンドオピニオンの記事で詳しく書いています。
予約を待つ間に使える相談先
精神科の予約が先になっても、相談できる場所はあります。
いちばん相談しやすいのは精神保健福祉センターです。各都道府県と政令指定都市に設置されている公的な機関で、「予約が取れなくて困っている」と電話で伝えれば、受診が必要かどうかの判断や、地域の医療機関の情報について相談に乗ってもらえます。費用はかかりません。最寄りのセンターは厚生労働省のサイトから調べられます。
ほかに、お住まいの地域の保健所(全国の保健所一覧)でもこころの健康に関する相談を受け付けています。
勤務先に産業医がいる方は、仕事上の不調について相談できます。産業医は治療を行う立場ではありませんが、業務上の負担を調整する相談ができ、受診を勧める判断の助けにもなります。詳しくは産業医面談の記事をご覧ください。
待っている間の過ごし方
予約までの期間を「何もできない空白」にしないために、負担を増やさない範囲でできることがあります。
困っていることを短くメモしておく
いつ頃から気になっているか。いちばん困っていることは何か。この2点だけでも、短いメモにしておくと初診で役立ちます。文章にする必要はありません。箇条書きで十分です。
メモがうまく書けなくても心配はいりません。診察では、医師が尋ねながら進めます。メモは診察を助ける道具であって、提出物ではありません。初診で聞かれることの全体像は初診で何を聞かれるかの記事にまとめています。
飲んでいるものを確認しておく
処方薬、市販薬、サプリメントなど、いま日常的に口にしているものがあれば書き出しておいてください。お薬手帳があればそれで十分です。初診のときにこの情報があると、医師が治療の計画を立てやすくなります。
生活を大きく崩さないことを目標にする
待機中に「体調を治しておこう」と考える必要はありません。目標は、いまの状態をこれ以上悪くしないことです。
できる範囲で食事を取り、できる範囲で眠る。それだけで十分です。「生活リズムを整えなければ」「運動しなければ」と、受診前に課題を増やす必要はありません。睡眠が気になる方は睡眠衛生の基本の記事を参考にしてください。ただし、眠れないことへの対処を自分だけで完結させようとしなくても構いません。それは診察で扱えることです。
待っている間に浮かぶ迷い
予約を入れたあと、いくつかの考えが浮かぶことがあります。
「もう少し悪くならないと行く意味がないのでは」。そんなことはありません。軽い段階で受診するほうが、治療の選択肢は広がります。
「待っているうちに元気になったら、キャンセルしていいのか」。構いません。ただ、元気に見えるときでも波があるなら、一度診てもらう意味はあります。判断に迷ったら、そのまま受診して「最近は調子がよい」と話してください。
「予約したことを誰かに言うべきか」。言う必要はありません。受診は自分のためにすることです。
何があったのかを話したくない場合は、話さないままでも受診できます。話したくないことを話す必要はありません。決心がついてから受診する必要もなく、どうするかを決めかねている段階でも、そのままお話しいただいて構いません。
お酒や市販薬でしのがない
眠れないとき、不安が強いとき、お酒や市販薬で一時的に楽になろうとする方がいます。気持ちはわかりますが、受診後の治療に影響が出ることがあるため、自己判断での使用は避けてください。
予約日までに状態が悪化したら
眠れない日が何日も続く、仕事や日常生活がまわらなくなっているといった場合は、予約日を待たずに動いてください。予約先の医療機関に電話して状況を伝えれば、前倒しやキャンセル待ちの対応をしてもらえることがあります。上で挙げた精神保健福祉センターや保健所にも相談できます。
急に状態が大きく変わったとき、自分を傷つけたくなったときは、救急(119)に連絡するか、主治医に相談してください。
当院の受診について
当院(春日メンタルクリニック)の初診予約はWEB予約で承っています。予約から24時間以内にWEB問診票をご記入ください。ご記入がない場合、予約は自動的にキャンセルとなります。
WEB問診は簡単な記載で構いません。症状を文章にしにくい場合は、「気になる感じがある」程度の記載でも差し支えありません。詳しくは診察のなかで伺います。
初診の所要時間は、問診を含めて30分程度が目安です。診断書をご希望の方は、事前のWEB問診票にその旨をご記載ください。
ご予約の前に、ご予約にあたっての注意事項を必ずご確認ください。当院で対応できない場合があります。初診の流れや持ち物については初めての方へをご覧ください。
まとめ
予約を入れたこと自体が、すでにひとつの行動です。
初診で何を聞かれるか / 精神科の費用 / 受診をためらう理由 / 転院・セカンドオピニオン / 休職診断書のもらい方
よくある質問
予約が取れるまでの間、市販の睡眠薬や安定剤を飲んでもいいですか?
市販薬で一時的にしのぎたくなる気持ちはわかりますが、自己判断での使用はおすすめしません。市販の睡眠補助薬と処方薬では成分も作用も異なりますし、受診後に処方される薬との飲み合わせの問題が起こることもあります。服用中の市販薬やサプリメントがあれば、初診のときに伝えてください。
かかりつけの内科で精神科の薬を出してもらうことはできますか?
内科の医師が判断のうえで処方することは制度上可能です。ただし、精神科の薬は症状の経過を見ながら調整していくものなので、精神科や心療内科の受診を並行して進めることをおすすめします。内科で処方を受けた場合は、精神科の初診時にその薬と量を伝えてください。
精神保健福祉センターではどんな相談ができますか?
こころの健康についての相談全般に応じています。精神科の受診が必要かどうかの判断も相談できます。医療機関ではないので診断や処方はできませんが、地域の医療機関や制度の情報を持っている窓口です。各都道府県・政令指定都市に設置されており、厚生労働省のサイトから最寄りのセンターを調べられます。
予約を待っている間に症状が悪化したらどうすればいいですか?
強いつらさが続く、眠れない日が何日も続く、仕事や日常生活がまわらなくなっているといった場合は、予約日を待たずに動いてください。予約先の医療機関に電話して状況を伝えれば、予約の前倒しやキャンセル待ちの対応をしてもらえることがあります。急を要するときは救急(119)に連絡するか、主治医に相談してください。
初診まで何を準備しておけばいいですか?
いつ頃からどんなことが気になっているか、日常生活でいちばん困っていることは何かの2点を、短いメモにしておくと診察で伝えやすくなります。まとまっていなくても、メモがなくても、診察は進められます。詳しくは初診で何を聞かれるかの記事をご覧ください。