リフレックス(一般名: ミルタザピン)は、うつ病・うつ状態の治療に使われる抗うつ薬です。NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)と呼ばれるタイプで、同じ成分の先発品に「レメロン」があります。
このページでは、リフレックスの効果と仕組み、効果が出るまでの期間、眠気や食欲増加などの副作用と対処、減らし方・やめ方までをまとめました。服用中の方も、これから処方を検討される方も、気になるところから読んでいただければと思います。
どんな薬か
リフレックスは、うつ病やうつ状態でみられる気分の落ち込みや意欲の低下の改善を期待して使われる抗うつ薬です。添付文書上の効能・効果は「うつ病・うつ状態」とされています。
この薬の大きな特徴は、眠りを助ける作用と食欲を増す作用をあわせもつことです。これらは「眠気」「体重増加」という副作用として語られることが多い一方、眠れない・食べられないといったうつ症状がつらい方には、回復を後押しする働きになる場合もあります。診察では、この特徴がご本人の症状に合うかどうかを考えながら処方を検討します。
効果と作用の仕組み
脳内では、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が、気分や意欲の調整に関わっていると考えられています。リフレックスは、これらの神経伝達の働きを高めることで、うつ症状の改善を図る薬です。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がセロトニンの「再取り込み」を妨げて働くのに対し、リフレックスは神経伝達物質の放出を促すという異なる仕組みをもっています。そのため、SSRIで効果が不十分だった場合や、吐き気などで続けにくかった場合の選択肢になることがあります。
服用の仕方
添付文書上の標準的な用法は、1日15mgから開始し、15〜30mgを維持量として、1日45mgを超えない範囲とされています。増やす場合は1週間以上の間隔をあけて15mgずつ増量し、1日1回、就寝前に服用します。
ただし、これはあくまで添付文書上の標準です。実際の量や増やし方は、症状や体質、眠気の出方をみながら、医師がひとりひとりに合わせて調整します。飲み忘れたときに2回分をまとめて飲むことは避け、対応に迷ったら主治医や薬剤師にご確認ください。
なお、本剤の成分に過敏症の既往がある方と、MAO阻害剤(セレギリンなど)を使用中または中止後2週間以内の方には使用できません(禁忌)。他院で治療中の病気や飲んでいる薬がある方は、必ずお伝えください。
効果が出るまでの期間
眠りや食欲への手応えは、比較的早い時期から感じられることがあります。一方、気分の落ち込みや意欲への効果は、ほかの抗うつ薬と同じように、飲み始めてから数週間かけて少しずつ現れてくることが一般的です。
「数日飲んでも気分が変わらない」と感じても、効いていないと決めるのは早すぎます。効果の判定には一定の期間が必要ですので、自己判断で中断せず、経過を主治医と共有しながら続けていくことが大切です。
主な副作用と対処
添付文書で頻度の高い副作用として挙げられているのは、眠気(傾眠 50.0%)、口の渇き(20.6%)、便秘(12.7%)などです。このほか、倦怠感、体重増加、肝機能値(ALTなど)の上昇も比較的多い副作用として報告されています。
眠気はもっとも多い副作用で、特に飲み始めの時期に強く出やすい傾向があります。就寝前に服用することで夜の眠りに活かせる薬でもあり、不眠症を伴ううつ状態では、この作用がむしろ助けになる方もいます。日中の眠気が生活の支障になっているときは、量や飲み方を調整しますので、我慢せず主治医にお伝えください。
食欲の増加や体重増加も知られた副作用です。食べられない状態が続いていた方には回復の後押しになる一方、体重の変化が負担に感じられることもあります。体重は定期的に確認し、気になるときは早めにご相談ください。便秘や口の渇きは、水分や食事の工夫で和らぐことも多く、つらい場合は対処を一緒に考えます。
まれだが注意したい副作用
頻度は不明ながら、重大な副作用として、セロトニン症候群、無顆粒球症・好中球減少症、痙攣、肝機能障害・黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、皮膚粘膜眼症候群などの重い皮膚症状、QT延長・心室頻拍が報告されています。
いずれもまれなものですが、高熱が続く、のどの痛みと発熱が重なる、皮膚や白目が黄色くなる、発疹が広がる、動悸や失神がある、といったいつもと明らかに違う症状に気づいたときは、早めに主治医にご連絡ください。緊急を要すると感じたときは、ためらわず救急(119)に連絡してください。
また、抗うつ薬に共通する注意として、24歳以下の方では自殺念慮・自殺企図のリスクが増加するとの報告があります。飲み始めや増量した時期に、不安や焦り、落ち着かなさが強まったときは、そのままにせず主治医にお伝えください。
減らすとき・やめるとき
リフレックスを突然中止すると、不安、焦燥、めまい、頭痛、吐き気などの症状(中止後症状)が現れることが報告されています。調子が良くなったと感じても、自己判断で急にやめないことがとても大切です。
やめるときは、症状が十分に安定していることを確認したうえで、体の反応をみながら時間をかけて少しずつ減らしていきます。減らす途中で不調を感じたときは、無理をせず主治医にご相談ください。ペースを緩めたり、いったん元の量に戻したりしながら、安全に進めていきます。
生活上の注意
自動車の運転については、眠気やめまいなどがあらわれることがあるため、添付文書では、服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意することとされています。特に飲み始めの時期は眠気が強く出やすいため、ご注意ください。
アルコールは、眠気やふらつきを強めるおそれがあります。服用中の飲酒はできるだけ控え、飲む機会があるときは事前に主治医にご相談ください。
妊娠中または妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。授乳中の方は、治療の有益性と母乳栄養の有益性の両方をふまえて、継続や中止を検討します。妊娠を考えている方や妊娠が分かった方は、自己判断で中断せず、まず主治医にご相談ください。
食事の影響は少ないとされており、就寝前の服用を毎日続けやすいことも、この薬の使いやすさのひとつです。
当院で処方するとき
当院では、うつ病・うつ状態の方のうち、特に不眠や食欲低下がつらい方に、リフレックスを選択肢のひとつとして検討することがあります。SSRIなどほかの抗うつ薬で効果が不十分だった場合や、副作用で続けにくかった場合に、切り替えを検討することもあります。
処方する場合は少量から開始し、眠気の出方や体重の変化を確認しながら調整していきます。定期的な診察のなかで効果と副作用のバランスをご本人と確認し、必要に応じて血液検査で肝機能などをみることもあります。疑問や不安があれば、遠慮なく診察でお尋ねください。
参考文献
- リフレックス錠15mg・リフレックス錠30mg 添付文書(2021年1月改訂、第5版) — KEGG MEDICUS 医薬品情報(参照日: 2026年7月7日)
よくある質問
飲み始めてから眠気がとても強いのですが、続けても大丈夫ですか?
眠気はリフレックスでもっとも多い副作用で、特に飲み始めの時期に強く出やすいとされています。続けるうちに軽くなる方もいますが、日中の生活に支障が出ているときは量や飲み方の調整を検討しますので、我慢せず主治医にご相談ください。なお、服用中は自動車の運転は控えてください。
リフレックスを飲むと太ると聞きました。本当ですか?
食欲の増加や体重増加は、添付文書にも記載されている比較的多い副作用です。一方で、うつ症状で食べられない状態が続いていた方には、回復を後押しする面もあります。体重の変化が気になるときは、我慢したり自己判断でやめたりせず、早めに主治医にご相談ください。
効果はどのくらいで感じられますか?
眠りや食欲への手応えは比較的早くから感じられることがありますが、気分の落ち込みへの効果は、飲み始めてから数週間かけて少しずつ現れることが一般的です。数日で変化がなくても効いていないとは限りませんので、自己判断で中断せず、経過を主治医に伝えながら続けてください。
リフレックスはやめられなくなる薬ですか?
抗うつ薬は、いわゆる「やめられなくなる依存」を起こす薬とは考えられていません。ただし、突然中止すると、めまい・頭痛・吐き気・不安などの中止後症状が現れることが報告されています。やめるときは症状が安定していることを確認し、主治医と相談しながら時間をかけて少しずつ減らしていきます。
他の抗うつ薬と何が違うのですか?
リフレックスはNaSSAと呼ばれるタイプで、SSRIなどとは異なる仕組みでセロトニンやノルアドレナリンの働きを高めます。眠りを助ける作用と食欲を増す作用をあわせもつことが特徴で、不眠や食欲低下を伴ううつ状態の方に向く場合があります。どの薬が合うかは、診察のうえで医師が判断します。