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ラツーダ(一般名: ルラシドン)は、抗精神病薬に分類される比較的新しいお薬です。ドパミンやセロトニンなどの受容体に働きかけることで、幻覚・妄想や気分の落ち込みを和らげることが期待されます。

日本では、統合失調症と、双極性障害におけるうつ症状の改善に使われています。双極性障害の「うつ」の時期に使えるお薬として位置づけられている点が特徴です。このページでは、その使われ方を中心に解説します。なお、ここでの説明は一般的な情報であり、実際の飲み方は診察のうえで主治医が個別に判断します。

どんな薬か

ラツーダは、脳内のドパミンやセロトニンなどの働きを調整することで、統合失調症の幻覚・妄想を和らげたり、双極性障害のうつ症状を改善したりすることが期待されるお薬です。

錠剤は20mg・40mg・60mg・80mgの規格があります。抗精神病薬のなかでは体重増加が比較的少ないとされること、そして「食後に飲む」という飲み方の決まりがあることが特徴です。

効果と作用の仕組み

ドパミンやセロトニンは、現実感・気分・意欲などに関わる神経伝達物質です。統合失調症では一部の経路でドパミンが過剰に働いていると考えられ、ラツーダはこの働きを調整します。あわせてセロトニンの複数の受容体にも作用し、これが双極性障害のうつ症状の改善に関わると考えられています。

効果の現れ方には個人差があり、すべての方に同じように効くわけではありません。

服用の仕方

添付文書上の標準的な用量は、適応によって異なります。統合失調症では1日1回40mgを食後に(1日最大80mg)、双極性障害のうつ症状では1日1回20mgで開始し20〜60mgを食後に(増量幅は1日20mg・1日最大60mg)とされています。いずれもあくまで添付文書上の標準で、実際の量は症状や体質を見ながら医師が調整します。

大切なのは、必ず食後に飲むことです。空腹時に飲むと吸収が下がり、効果が十分に得られにくくなります。腎臓や肝臓の働きが低下している方は、量を減らす調整が必要になることがあります。ほかに治療中の病気やお薬がある方は、必ず診察時にお伝えください。

効果が出るまでの期間

ラツーダは、飲んですぐに効果を実感できる薬ではありません。効果が現れるまでには数週間かかることが一般的で、双極性障害のうつ症状に対しても、少しずつ様子をみていくことになります。

すぐに変化を感じなくても、自己判断で量を増やしたり中止したりせず、診察で経過をお伝えください。効果と副作用のバランスを見ながら調整していきます。

主な副作用と対処

比較的みられる副作用として、アカシジア(静座不能・8.3%)、体重増加が報告されています。そのほか、不安、傾眠(眠気)、不眠、頭痛、浮動性めまい、振戦、悪心、嘔吐、便秘なども1〜5%未満でみられます。

アカシジアは「じっとしていられない」「そわそわして動きたくなる」といった形であらわれることがあります。感じたときはがまんせず主治医にお伝えください。量の調整などで和らぐことが多くあります。吐き気やめまいなどは飲み始めの時期に出やすく、体が慣れると軽くなることもあります。

まれだが注意したい副作用

頻度はまれですが、重大な副作用として、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、痙攣、高血糖・糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡、横紋筋融解症、無顆粒球症、肺塞栓症・深部静脈血栓症などが知られています。高熱・体のこわばり・意識のもうろう、手足や口の勝手な動き、強い筋肉痛や赤褐色の尿、片方の足の腫れや痛みなどがあらわれたら、すぐに受診してください。差し迫った状態のときは、ためらわず救急(119)に連絡してください。

また、口の渇き・多飲・多尿・頻尿などは高血糖のサインのことがあります。気づいたら早めにご相談ください。

減らすとき・やめるとき

ラツーダに、いわゆる依存性のある薬という位置づけはありません。ただし、自己判断で急に中止すると、症状がぶり返したり不安定になったりすることがあります。

調子が良くなったと感じても、減らす時期やペースは主治医と一緒に決めていくことが大切です。特に双極性障害では、症状が落ち着いたあとも再発予防のために服用を続けることが多いお薬です。まずは診察でご相談ください。

生活上の注意

  • 車の運転など: 眠気や注意力・集中力・反射運動能力の低下が起こることがあるため、添付文書では自動車の運転など危険を伴う機械の操作をしないよう注意することとされています。運転の必要がある方は、必ず主治医にご相談ください。
  • 食事とグレープフルーツ: 必ず食後に飲んでください。また、グレープフルーツを含む食品は血中濃度を上げることがあるため、摂取しないよう注意してください。
  • 妊娠・授乳: 妊娠中の方・妊娠の可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に使用するとされています。妊娠後期に抗精神病薬を使用した場合、新生児に一時的な症状が報告されています。妊娠を考えている方・妊娠が分かった方は、自己判断で中止せず必ずご相談ください。
  • 飲み合わせ: 一部のお薬(肝臓の代謝酵素に強く影響する薬)とは併用できません。市販薬やサプリメントを使う前にもご相談ください。受診の際はお薬手帳をお持ちください。

当院で処方するとき

当院では、診断と症状の状態、体質、生活の状況をうかがったうえで、ラツーダが適しているかを判断します。特に双極性障害のうつ症状で悩んでいる方に検討されることがあります。食後に飲むことや、グレープフルーツを避けることなど、飲み方の説明も丁寧に行います。

開始後しばらくは、効果とともにアカシジアなどの副作用を確認するため、比較的こまめに診察を行います。薬は治療の柱の一つですが、それだけがすべてではありません。休養や生活の調整と組み合わせながら、回復を一緒に目指していきます。薬への不安や疑問は、どんな小さなことでも診察でお聞かせください。

参考文献

  • ラツーダ錠20mg 他 添付文書(2026年3月改訂・第10版) — KEGG MEDICUS掲載の電子添文を参照(参照日: 2026-07-07)

よくある質問

なぜ食後に飲むように言われるのですか?

ラツーダ(ルラシドン)は、空腹時に飲むと吸収が大きく下がり、十分な効果が得られにくくなることがわかっています。食後に飲むことで安定した効果が期待できるため、添付文書でも食後の服用が定められています。毎日決まった食事のあとに飲む習慣にすると飲み忘れも防ぎやすくなります。

グレープフルーツは食べても大丈夫ですか?

グレープフルーツを含む食品は、ラツーダの血中濃度を上げてしまうことがあるため、摂取しないよう注意することとされています。服用中はグレープフルーツやそのジュースを避けてください。ほかにも飲み合わせに注意が必要な薬があるので、市販薬を使う前にもご相談ください。

太りにくい薬と聞きましたが本当ですか?

ラツーダは、抗精神病薬のなかでは体重増加が比較的少ないとされるお薬です。ただし体重増加が報告されている副作用の一つであることに変わりはなく、まったく影響がないわけではありません。体重や体調の変化が気になるときは主治医にご相談ください。

どんな副作用に気をつければよいですか?

比較的みられるのはアカシジア(じっとしていられない・そわそわする感じ)で、臨床試験でも報告されています。そのほか眠気、不眠、頭痛、めまい、吐き気などがみられることがあります。落ち着かない感じはがまんせずお伝えください。量の調整などで和らぐことが多くあります。

やめるときはどうすればよいですか?

ラツーダに依存性がある薬という位置づけはありませんが、自己判断で急にやめると症状がぶり返すことがあります。減らす時期やペースは、症状が安定していることを確認しながら主治医と相談して決めます。調子が良いと感じても、まずは診察でご相談ください。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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