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フルボキサミン(商品名: デプロメール、ルボックス)は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプの抗うつ薬です。日本で最初に使えるようになったSSRIで、うつ病・うつ状態のほか、強迫性障害や社会不安障害(社交不安障害)の治療に長く使われてきました。

このページでは、フルボキサミンの効果と作用の仕組み、飲み方、効果が出るまでの期間、副作用への対処、減らし方・やめ方までを、添付文書に沿って整理しました。気になるところからお読みください。

どんな薬か

フルボキサミンは、脳内のセロトニンという物質の働きを整えることで、気分の落ち込みや不安、強迫症状をやわらげていく薬です。添付文書上の効能・効果は「うつ病・うつ状態」「強迫性障害」「社会不安障害」の3つです。

とくに強迫性障害では、8歳以上のお子さんにも使うことが認められている数少ない薬です。また、人前での強い緊張や不安が続く社交不安障害(添付文書上の表記は社会不安障害)にも適応があります。

効果と作用の仕組み

脳の中では、セロトニンなどの神経伝達物質が、気分や不安の調節に関わっていると考えられています。SSRIは、いったん放出されたセロトニンが神経に回収されるのを抑えることで、セロトニンの働きを高める薬です。

フルボキサミンもこの仕組みによって、気分の落ち込みや不安・緊張のほか、頭から離れない考えやくり返さずにいられない行動(強迫症状)を、少しずつやわらげていくことが期待されます。効果の感じ方には個人差があり、「飲めば必ず治る」という薬ではありませんが、症状に合えば生活のしづらさを軽くしていく助けになります。

服用の仕方

添付文書上の標準的な用法は、成人では1日50mgから開始し、1日150mgまで増量して、1日2回に分けて服用するというものです。ただしこれはあくまで添付文書上の標準であり、実際の量や増やすペースは、症状や体質、副作用の出方を見ながら医師が一人ひとり調整します。少ない量から時間をかけて増やしていくのが基本です。

8歳以上のお子さんの強迫性障害では、1日1回25mgを就寝前に服用することから始めるなど、成人とは別の決まりが定められています。

なお、次の方はこの薬を使うことができません(禁忌)。

  • この薬の成分に過敏症(アレルギー)の既往がある方
  • MAO阻害剤(セレギリンなど)を使用中、または中止後2週間以内の方
  • ピモジド、チザニジン、ラメルテオン、メラトニンを使用中の方

このほかにも飲み合わせに注意が必要な薬が多くあります。他院で処方された薬や市販薬を使うときは、必ず主治医・薬剤師にお伝えください。

効果が出るまでの期間

抗うつ薬の多くにいえることですが、飲み始めてすぐに効果を実感できることは少なく、一般に2〜4週間ほどかけて少しずつ変化が現れることが多いとされています。強迫性障害では、うつ病よりさらに時間がかかることも珍しくありません。

一方で、吐き気などの副作用は飲み始めの時期に出やすいため、「副作用ばかりで効いている気がしない」と感じる時期があるかもしれません。ここで自己判断でやめてしまうのはもったいないタイミングです。つらいときは我慢せず、主治医にご相談ください。

主な副作用と対処

添付文書上、比較的多い(5%以上)とされる副作用は、眠気、嘔気・悪心(吐き気)、便秘です。このほか、口の渇き、めまい・ふらつき、頭痛、不眠、下痢、腹痛、食欲不振など(0.1〜5%未満)が報告されています。

吐き気などの胃腸症状は飲み始めに出やすく、体が慣れるにつれて軽くなっていくことが多い症状です。眠気が強いときは、飲む時間帯や量の調整で対応できる場合があります。いずれの場合も、自己判断で中止せず、まず主治医にご相談ください。

まれだが注意したい副作用

頻度は高くありませんが、添付文書では重大な副作用として、セロトニン症候群(発熱・震え・混乱など)、痙攣、意識障害、せん妄・錯乱・幻覚・妄想、悪性症候群、白血球や血小板の減少、肝機能障害・黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、ショック・アナフィラキシーが挙げられています。高熱や強い体のこわばり、意識がもうろうとするなど、いつもと明らかに違う変化があるときは、早急に主治医に連絡してください。緊急性が高いときは、ためらわず救急(119)を利用してください。

また、飲み始めや増量のタイミングで、不安・焦り・イライラ・眠れないといった落ち着かなさが強まることがあります。とくに24歳以下の方では、抗うつ薬によって自殺念慮などのリスクが増えるとの報告があり、開始初期や量を変えた時期は注意深く経過をみていきます。ご本人やご家族から見て気になる変化があれば、早めに教えてください。

減らすとき・やめるとき

フルボキサミンを急に減らしたり中止したりすると、頭痛、吐き気、めまい、不安感、不眠、集中力の低下などの症状(中断症状)が現れることが報告されています。このため、やめるときは徐々に減量するなど、慎重に進めることとされています。

調子が良くなったと感じても、自己判断で急にやめないでください。再発を防ぐために、良くなってからも一定期間続けることが大切と考えられています。減らし始める時期やペースは、症状の安定を確認しながら、主治医と一緒に決めていきます。

生活上の注意

  • 車の運転: 眠気や、意識レベルの低下・意識消失などの意識障害が起こることがあるため、添付文書上、服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないこととされています。
  • アルコール: 添付文書に飲酒についての明確な記載はありませんが、アルコールは眠気を強めたり、気分や睡眠に影響したりすることがあります。服用中の飲酒は控えめにし、心配なときは主治医にご相談ください。
  • 妊娠: 添付文書では、妊婦または妊娠している可能性のある方には投与しないことが望ましいとされています。妊娠を考えているとき・妊娠が分かったときは、自己判断でやめず、できるだけ早く主治医にご相談ください。今後の治療をどうするか、一緒に考えていきます。
  • 授乳: この薬は母乳に移行することが報告されています。治療の必要性と母乳育児の利点をふまえて、授乳を続けるかどうかを主治医と相談して決めていきます。
  • 飲み合わせ: テオフィリン(喘息などの薬)やワルファリン(血液を固まりにくくする薬)など、一緒に使うときに調整が必要な薬が多くあります。お薬手帳を活用し、新しい薬が始まるときは必ずフルボキサミンを飲んでいることを伝えてください。

当院で処方するとき

当院では、診察で症状の経過や生活の状況、これまでの治療、併用中の薬を確認したうえで、フルボキサミンが合いそうかどうかを判断します。処方する場合は少ない量から始め、効果と副作用のバランスを見ながら、通院のたびに一緒に調整していきます。

強迫性障害や社交不安障害の治療では、薬だけに頼るのではなく、考え方や行動面の工夫を組み合わせていくことも大切です。薬への不安や疑問があれば、遠慮なく診察でお聞かせください。

参考文献

  • デプロメール錠25・デプロメール錠50・デプロメール錠75 添付文書 2022年11月改訂(第5版)(KEGG MEDICUS 医療用医薬品情報検索、参照日: 2026年7月7日)

よくある質問

効果はどのくらいで感じられますか?

個人差はありますが、飲み始めてから2〜4週間ほどかけて少しずつ変化を感じる方が多いとされています。強迫性障害では、さらに時間がかかることもあります。すぐに実感がなくても効いていないとは限らないため、自己判断でやめずに、診察で経過をお聞かせください。

眠気や吐き気が出たときはどうすればいいですか?

吐き気などの胃腸症状は飲み始めに出やすく、体が慣れるにつれて軽くなることが多い症状です。眠気が続く場合は、飲む時間帯や量の調整で対応できることがあります。つらいときは自己判断で中止せず、早めに主治医にご相談ください。

調子が良くなったら、自分でやめてもいいですか?

急にやめると、頭痛・吐き気・めまい・不安感・不眠・集中力低下などの症状(中断症状)が出ることが報告されています。また、良くなってからも一定期間続けることが再発予防に大切と考えられています。減らす時期とペースは、主治医と相談しながら少しずつ進めてください。

妊娠中・授乳中でも服用できますか?

添付文書では、妊婦または妊娠している可能性のある方には投与しないことが望ましいとされています。授乳については、母乳に移行することが報告されており、治療の必要性と母乳育児の利点をふまえて相談しながら決めていきます。妊娠が分かったときも自己判断で中止せず、まず主治医にご相談ください。

市販薬やほかの病院の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

フルボキサミンは飲み合わせに注意が必要な薬が多く、一緒に使えない薬(ピモジド、チザニジン、ラメルテオン、メラトニンなど)もあります。市販薬やサプリメントを含め、新しく薬を使うときは、必ず主治医・薬剤師にフルボキサミンを飲んでいることをお伝えください。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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