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ジェイゾロフト(一般名: セルトラリン)は、うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に使われる抗うつ薬です。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるグループの一つで、国内外で広く処方されています。

このページでは、ジェイゾロフトの効果と作用の仕組み、飲み方、効果が出るまでの期間、副作用とその対処、減らすとき・やめるときの注意点を、添付文書に沿ってまとめました。すでに服用中の方も、これから服用を検討している方も、気になるところからお読みください。

どんな薬か

ジェイゾロフトは、SSRIに分類される抗うつ薬です。添付文書上の効能・効果は、うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害(PTSD)です。

気分の落ち込みや意欲の低下が続くうつ病のほか、突然の動悸や息苦しさの発作を繰り返すパニック障害の治療でも、中心的に使われる薬の一つです。飲んだその日に効く薬ではなく、飲み続けることで症状の土台を少しずつ立て直していくタイプの薬です。

効果と作用の仕組み

脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンは、気分や不安の調節に関わっていると考えられています。ジェイゾロフトは、神経細胞がいったん放出したセロトニンを回収する働き(再取り込み)を選択的に抑えることで、セロトニンの働きを高めます。

この変化が積み重なることで、落ち込みや不安が少しずつ和らいでいくと考えられています。気分を無理に持ち上げる薬ではないため、効果はゆるやかに現れます。

服用の仕方

添付文書上の標準では、成人は1日25mgから開始し、1日100mgまで少しずつ増やして、1日1回服用します。年齢や症状に応じて、1日100mgを超えない範囲で調整するとされています。

ただし、これはあくまで添付文書上の標準です。実際にどの量から始めてどう増やすかは、診察のうえ医師が一人ひとりの状態に合わせて調整します。少ない量から始めるのは、飲み始めに出やすい吐き気などの副作用をできるだけ抑えるためです。

なお、次にあてはまる方は服用できません(禁忌)。

  • ジェイゾロフトの成分に過敏症の既往歴のある方
  • MAO阻害剤を服用中、または服用を中止してから14日以内の方
  • ピモジドを服用中の方

飲み合わせに関わるため、服用中の薬(市販薬やサプリメントを含む)は、診察時に必ずお伝えください。

効果が出るまでの期間

ジェイゾロフトの効果は、飲み始めてすぐには現れません。一般に、数週間かけて少しずつ実感されることが多い薬です。

一方で、吐き気などの副作用は飲み始めの時期に出やすいため、「つらさが先に来て、効果が後から来る」と感じる時期があります。ここでやめてしまうのはもったいない薬ですので、「効いていない気がする」ときも自己判断で中断せず、診察でそのままお伝えください。量の調整や続け方を一緒に考えていきます。

主な副作用と対処

もっとも多いのは、飲み始めの消化器症状です。添付文書では、悪心・嘔吐が20.3%、眠気(傾眠)が15.2%に報告されています。そのほか、口の渇き、下痢・軟便、便秘、頭痛、めまい、不眠などがみられることがあります。

吐き気は飲み始めの時期に出やすく、続けるうちに軽くなっていくことが多いとされています。ただ、我慢し続ける必要はありません。吐き気止めの併用や量の調整で対応できる場合がありますので、つらいときは早めにご相談ください。

また、頻度は高くありませんが、性機能に関する副作用(射精遅延など)が出ることもあります。言い出しにくい内容ですが、対応を検討できますので、気になるときは診察時にお伝えください。

まれだが注意したい副作用

頻度はまれですが、添付文書には次のような重大な副作用が記載されています。

  • セロトニン症候群(発熱、興奮、体のこわばりなどが急に現れる状態)
  • 悪性症候群、痙攣、昏睡
  • 肝機能障害
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
  • 重い皮膚症状(中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群)
  • アナフィラキシー
  • QT延長、心室頻拍などの不整脈
  • 血小板減少

高熱、意識のもうろう、けいれん、全身の発疹など、「いつもと明らかに違う」症状が急に現れたときは、続けるかどうかを自分で判断せず、すぐに主治医に連絡してください。症状が差し迫っているときは、ためらわず救急(119)に連絡してください。

また、抗うつ薬全般について、24歳以下の患者さんで自殺念慮・自殺企図のリスクが増加するとの報告があります。飲み始めの時期や量を変えた時期に、不安や焦り、死にたい気持ちが強まるときは、我慢せず早めに主治医に伝えてください。

減らすとき・やめるとき

ジェイゾロフトを突然中止すると、不安、焦燥、めまい、頭痛、吐き気、ぴりぴりとした感覚などの症状が現れることが報告されています。調子がよくなったと感じても、自己判断で急にやめないでください。

やめるときは、症状が十分に安定していることを確認したうえで、主治医と相談しながら時間をかけて少しずつ減らしていきます。減らす途中で調子が揺らいだときも、慌てずにご相談ください。ペースを戻したり緩めたりしながら、無理のない形で進めていけます。

生活上の注意

自動車の運転など

眠気やめまいなどが現れることがあるため、自動車の運転など危険を伴う機械の操作をする際は、十分に注意してください。特に飲み始めや増量した時期は、ご自身の体の反応を確かめながら慎重に過ごしてください。

アルコール

飲酒は、眠気やめまいを強めるおそれがあります。服用中の飲酒は控えめにし、お酒との付き合い方は主治医にご相談ください。

妊娠・授乳

妊娠中またはその可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するとされています。妊娠後期にSSRIを服用していた場合、生まれた新生児に呼吸補助や入院期間の延長を要する離脱症状と同様の症状がみられたとの報告や、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告があります。

授乳については、薬が母乳へ移行することが報告されており、治療の有益性と母乳栄養の有益性をふまえて、続け方を検討するとされています。妊娠を考えている方、妊娠が分かった方は、自己判断で中断せず、必ず主治医にご相談ください。

当院で処方するとき

当院では、診断と症状の程度、これまでの治療歴、体の状態や生活の様子をうかがったうえで、ジェイゾロフトが選択肢になるかどうかを判断します。処方する場合は少ない量から始め、飲み始めの副作用と効果の出方を診察のたびに確認しながら、無理のないペースで量を調整していきます。

効果の実感まで時間がかかる薬だからこそ、途中の不安や疑問を診察で率直にお話しいただくことが、治療をうまく進めるいちばんの近道です。増やす・減らす・やめるといった調整は、必ず一緒に相談しながら進めていきます。

参考文献

  • ジェイゾロフト錠 添付文書 2024年7月改訂(第6版)、ヴィアトリス製薬合同会社(KEGG MEDICUS収載、参照日: 2026年7月7日)

よくある質問

ジェイゾロフトはどのくらいで効いてきますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、飲んですぐに気分が変わる薬ではなく、飲み続けるなかで数週間かけて少しずつ実感されることが多い薬です。先に副作用だけを感じる時期があっても、自己判断で中断せず、診察で経過をそのままお伝えください。

飲み始めに吐き気があります。続けて大丈夫でしょうか?

吐き気(悪心・嘔吐)はもっとも多い副作用で、飲み始めの時期に出やすく、続けるうちに軽くなっていくことが多いとされています。ただ、つらさを我慢する必要はありません。吐き気止めの併用や量の調整で対応できる場合がありますので、早めに主治医にご相談ください。

一度飲み始めるとやめられなくなりませんか?

急にやめると、めまい・頭痛・不安・吐き気などの症状(中止後症状)が出ることが報告されていますが、これは「やめられなくなる」という意味ではありません。症状が安定したあと、主治医と相談しながら時間をかけて少しずつ減らしていくことで、やめていくことができます。自己判断で急に中断しないことが大切です。

妊娠中・授乳中でも飲めますか?

妊娠中またはその可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用するとされています。授乳中は薬が母乳へ移行することが報告されており、治療と母乳栄養の両方の有益性をふまえて主治医と相談します。妊娠を考えている段階から、自己判断で中断せずご相談ください。

飲み忘れたときはどうすればよいですか?

気づいた時点で、次に飲む時間が近い場合はその回を抜かし、2回分を一度にまとめて飲まないのが一般的な対応です。飲み忘れが続くと効果が安定しにくくなるため、判断に迷うときは薬剤師や主治医に確認してください。

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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