福岡県春日市須玖北4丁目34 2階
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心療内科で話を聞いてほしいと思っても、予約画面を開くと「何を話せばいいのか」「誰が聞くのか」「何回通うのか」と、別の疑問が出てきませんか。カウンセリングは気持ちを打ち明けるだけの時間ではなく、自分でもつかめない困りごとを一緒に理解し、これからの取り組み方を考える時間でもあります。申し込みから初回の面接まで、受ける人の目線で順番にたどってみましょう。

1. 心療内科に行けば、カウンセリングを受けられる?

「心療内科なら、ゆっくり悩みを聞いてもらえる」と思うかもしれません。ただ、診療科の名前だけでは、心理職によるカウンセリングを受けられるかどうかは分かりません。ここは予約の前に分けて考えておきたいところです。

心療内科は、ストレスや生活環境などが体の病気の発症や経過に深く関わる場合に、心身の両面から診る内科です。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなども対象になります。体の症状と、その人が置かれた状況を一緒に考えていきます。

ここで区別したいのが、医師の「診察」と心理職による「カウンセリング」です。診察では症状や体調を確認し、治療方針を考えます。一方、公認心理師などの心理職によるカウンセリングでは、話を聞きながら心理状態や困りごとを理解し、相談援助に取り組みます。公認心理師については、心理状態の把握や相談支援が法律上の仕事として定められています。

診察室でも、仕事の悩みや人間関係について話すことはあります。ただ、医師と話す診察時間があることと、心理職と時間を取って継続的に面接する仕組みがあることは別の話です。同じ「話を聞いてくれる」という言葉でも、担当者も目的も進め方も違います。

春日メンタルクリニックには心理士が在籍しておらず、心理士によるカウンセリングは実施していません。専門のカウンセリングを希望するときは、行こうとしている医療機関にそのサービスがあるかを、予約前に確かめておくと安心です。

看板の名前だけで判断せず、誰と何を相談できるのかを先に確かめておけば、自分の希望も伝えやすくなります。

2. 「何に困っていますか」を、うまく書けなくてもいい

カウンセリングの申し込み画面を開くと、「相談したいこと」を書く欄があるかもしれません。たった一つの欄なのに、そこで手が止まります。悩みは確かにあるのに、文章にしようとすると何から書けばいいのか分からなくなるのです。

「仕事に行くのがつらい」「家に帰ると気持ちが重くなる」「何が嫌なのか自分でも分からない」。最初の言葉は、このくらい短くても構いません。出来事を日付順に並べたり、原因らしいものを見つけたりしてから申し込む必要はありません。今の自分に言えることが、相談の出発点になります。

書いてみると、「本当に困っているのは朝の通勤より、その前の夜なのかもしれない」と気づくこともあるでしょう。逆に、書けば書くほど話が散らばるかもしれません。それでも、言葉を探す時間には意味があります。自分の中だけにあった困りごとを、誰かと一緒に眺めるための手がかりになるからです。

面接が始まってからも同じです。昨日の出来事から数年前の話に飛んだり、途中で何を言おうとしていたか忘れたりしても、失敗したことにはなりません。質問を工夫して話を整理し、何が起きているのかを考えるのは担当者の仕事です。

「どこから話せばいいか分かりません」と、そのまま伝えて構いません。「今はそこを話しにくいです」という言葉も、話を進める手がかりになります。

カウンセリングは、相談内容をきれいに整理した人だけが入れる場所ではありません。 整理できないまま持っていった話を、相手と一緒に少しずつ理解していくことも、その時間に含まれています。

3. 初回は、話を聞いて終わる日ではない

いよいよ初回の面接です。椅子に座って「今日はどうされましたか」と尋ねられたら、先ほど書いた短い言葉から話し始められます。担当者はそこから、「いつ頃から困っているのか」「どんな場面で特につらいのか」「それまでに何があったのか」と、少しずつ輪郭を確かめていきます。

初回に質問が多いのは、事情を記録するためだけでなく、本人にもまだ分からない困りごとをどう理解すればよいかを考えるためでもあります。同じ「仕事がつらい」という言葉でも、何が負担になっているのかは最初の一言だけでは見えてきません。

今の生活について尋ねられることもあります。仕事や暮らしの状況、周囲に頼れる人がいるか、通うための時間や費用をどう確保できそうか、といったことです。こうした質問は、これから考える方法がその人の毎日の中で実行できるかを見通すためにも役立ちます。

家族との関係や過去の出来事を尋ねられることもあります。生い立ちを詳しく振り返る方法もありますが、初回からすべて話す必要はありません。話しにくければ、その気持ちを伝えるところから始められます。

心理臨床家の東畑開人さんは、自身の初回面接60分を、聞き取り、理解したことの説明、今後の相談に分けています。継続面接は45分としていますが、これは著者自身の実践例で、共通の時間設定ではありません。

ここで初回の後半を想像してみてください。あなたが話し終えたあと、担当者が「今のお話からは、こういうことが重なって困っているように思います」と、自分なりに理解したことを返してくれます。それまでばらばらだった出来事が、一枚の地図の上に置き直されるように感じるかもしれません。

この理解の仕方を「見立て」と呼びます。ただし、担当者の説明をそのまま正解として受け取る必要はありません。「そこは少し違います」「その説明はまだしっくりきません」と伝えることも、話を一緒に整理する過程に含まれます。何を目標にするか、どんな取り組み方がありそうかを相談するための土台は、このやり取りの中でできていきます。

初回面接で確かめようとしているのは、あなたが話を上手にまとめられるかどうかではなく、何があなたを困らせているかです。話を聞いてもらったあと、自分の状況を少し違う角度から見られることがあります。そして、見えてきたものを手がかりに、次は「これからどうなりたいか」を一緒に考えていきます。

4. 「どうなりたいですか」に、答えがなくてもいい

初回の後半で、担当者から「これから、どうなっていきたいですか」と聞かれたとします。ここまで困っていることを話すだけで精いっぱいだったのに、急に未来の話になって、言葉が出てこないかもしれません。

「どうなりたいかなんて、考える余裕がありません」。それも今の気持ちを伝える答えです。東畑開人さんは、過去の出来事や現在の状況を確かめるだけでなく、本人がどんな変化を望んでいるかを尋ねることを、初回面接の大事な仕事として説明しています。

たとえば同じ「職場に行くのが苦しい」という相談でも、「不安を少し軽くしたい」「困った場面での対応を考えたい」「なぜ自分がそこまで苦しくなるのか知りたい」では、取り組みたいことが違います。最初から一つに決められなくても、どの言葉が今の自分に近いかを考えるところから始められます。

担当者から、目の前の問題への対処を考える方法や、自分の心の動きをじっくり理解していく方法などを提案されることもあります。そこで「どちらがよいですか」と聞かれて困ったら、それぞれ何をするのか、なぜ勧めるのかを尋ねて構いません。選択肢を比べるうちに、希望が少し見えてくる場合もあります。

河合隼雄さんは、日常の会話では相手の困りごとにすぐ解決策を返したくなる一方、カウンセリングでは結論を急がず、話の中にあるものを丁寧に理解しようとする姿勢を重視しています。早く答えを出さない時間にも意味があるということです。

「今は何も決められない」と言って始めた相談が、「まず、この場面を何とかしたい」という小さな目標につながるかもしれません。何を目指すかも、担当者と一緒に考えてよいことです。 誰かの正解に自分を合わせる必要はありません。

5. 初回を受けても、続けると決まったわけではない

話を聞いてもらい、困りごとの見立ても聞きました。では、次の予約を取ればカウンセリングが始まるのでしょうか。その前に確かめておきたいのが、「この方法で、何を目指して取り組むのか」という約束です。

東畑さんが紹介する初回面接では、担当者が考えられる方針を提案し、本人の希望や生活の事情とすり合わせます。差し迫った生活上の困りごとへの対処を考えるのか、長い時間をかけて自分の内面を探っていくのか、といったことです。同じ「カウンセリング」という名前でも、目標が変われば進め方も変わります。

方法の説明を聞くときは、よさそうな点だけでなく、負担についても確かめておきたいところです。東畑さんは、心の深い部分を扱う面接では、つらい気持ちが強く出て生活が揺らぐ可能性にも触れています。すべての相談で同じことが起きるという意味ではなく、その方法を選ぶ前に知っておきたいことだという話です。

一度会っただけで決めず、何回か面接をして、何を扱うか、本人に合う方法かを検討する実践もあります。英国のNHSによる認知行動療法の案内でも、事前に困りごとと希望を確かめたうえで、別の心理療法も含めて方法を検討する流れが説明されています。

そして初回の結果、カウンセリングを始めないと判断することもあります。ほかの支援のほうが役立ちそうなときや、面接を続ける負担が大きそうなときです。始めない理由を聞き、次にどんな支援が必要なのかを考えることも、初回面接で得られる大事な整理です。

「ここまで話したのだから続けなければ」と考えなくて大丈夫です。自分が望むことと提供される方法が合っているかを確かめる時間にしてください。

ただし、今すぐ身の安全を確保する必要があるほど切迫しているときは、通常の面接の予約を待つ段階ではありません。主治医に連絡し、差し迫った危険がある場合は119番に助けを求めてください。電話で相談できる窓口として、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)もあります。

6. 「誰が、何分、いくらで」を始める前に聞く

やってみたい方法が見えても、毎週の予定に入れられるか、費用を払い続けられるかが分からないと、始める決心はつきません。カウンセリングは面接室の中だけの話ではなく、通う人の生活の中に置くものです。そこで、申し込む前に六つの点を確認しておきましょう。

一つ目は、誰が担当するかです。公認心理師など、担当者の資格や役割を聞いてみます。公認心理師は法律に基づく資格で、心理状態を理解し、相談援助を行います。すでに主治医がいる場合、公認心理師はその指示を受けることが法律で定められています。担当者と医師がどう関わるのかも確かめておくと、診察との違いが見えてきます。

二つ目は、一回の長さです。初回だけ長い時間を取る施設もあります。東畑さんの実践は初回60分、継続45分ですが、施設によって25分・50分など枠はさまざまです。医師の診察と別に予約するのかも聞いておきましょう。

三つ目は、通う頻度と期間の見通しです。週に何回、または何週に一回を提案されるのか、その頻度で何に取り組めるのかを尋ねてみます。仕事や家庭の予定と合わなければ、目標や方法を考え直す相談ができます。終了までの期間が最初から決まらなくても、いつ振り返るかは聞けます。

四つ目は、費用と保険です。自費か保険診療かで扱いが異なります。たとえば保険診療の認知行動療法には、対象となる病気、担当者、面接時間などの算定条件があり、原則16回という算定回数の上限もあります。この数字は、すべてのカウンセリングの標準回数ではありません。自立支援医療を使っていても、保険の対象外となる費用まで軽減されるわけではありません。初回と継続の料金は別々に尋ねましょう。

五つ目は、予約の変更と終了のルールです。キャンセルはいつまでに連絡するのか、変更するときはどうするのかを聞いておきます。こうした取り決めは施設ごとに異なるため、前もって確かめておきましょう。

六つ目は、話した内容の扱いです。公認心理師には、正当な理由なく仕事で知った秘密を漏らしてはいけないという義務があります。診察と並行して受けるなら、主治医と何を共有し、どのように連携するのかも聞いてみましょう。

予約前には「初回は何分ですか」「診察とは別の予約ですか」「保険の対象ですか」「どのくらい通うか、途中で相談できますか」と、そのまま尋ねて構いません。条件を聞くのは気が引けるかもしれませんが、これは安心して始められる形を一緒に決めるための質問です。

7. 2回目からは、何を話して何を持ち帰る?

初回に困りごとの見立てと目標を話し合ったら、次からは何をするのでしょう。「毎回、最近あったことを話して終わるのかな」と思うかもしれません。話をする時間は大切ですが、取り組む方法によっては、面接と日常生活を行き来するように進みます。

たとえば前回、「職場で頼まれると断れず、仕事を抱え込むことが苦しい」と相談したとします。次の面接では、「あれから似た場面はありましたか」「そのとき、どんなことが頭に浮かびましたか」と振り返るかもしれません。うまく断れた日の話だけでなく、やはり引き受けてしまった日の話も手がかりになります。

認知行動療法では、こうした具体的な場面を取り上げ、そこで考えたこと、感じたこと、取った行動を一緒に整理する進め方があります。英国NHSの案内でも、困った状況を振り返り、別の捉え方や行動を検討して、日常の中で試すことが説明されています。

Judith S. Beckの著書には、まず前回の取り組みを振り返ってその日の議題を決め、話し合ったあとに次回までの行動を考え、最後に面接の感想を確認するという例が示されています。これは認知行動療法の一つの進め方で、すべてのカウンセリングが同じ順番で進むわけではありません。

ここで決めるのは、大きな宿題とは限りません。次に同じ場面があったら何を試せそうか、困ったときに自分を助ける方法は何かを一緒に探すこともあります。東畑開人さんは、気持ちが苦しくなったときの対処法を探し、実際に使えるかどうか確かめていく仕事を紹介しています。

面接で考えたことを忘れないよう、短いメモに残したり、試した結果を書いたりする方法もあります。「火曜日はできたけれど、金曜日は難しかった」でも、十分に次の話題になります。うまくいかなかったことを隠す必要はありません。何が難しかったのかを一緒に考えれば、別の方法を探す材料になります。

もう一つ、面接の中で感じたことも、持ち帰らずに伝えて構いません。「先ほどの質問は答えにくかった」「話が別の方向に進んだ気がする」「提案された方法は自分には難しそうです」。Beckは、こうした否定的な感想も、支援を調整するための大切な情報として扱っています。

困った場面を振り返り、別の対応を考えて日常で試し、次にその結果を話す。そうやって前回の面接と次の面接がつながっていく方法があります。一方で、すぐに行動を変えるより、心の動きを時間をかけて理解することに取り組む場合もあります。毎回何をする時間なのか分からなくなったら、聞き直して構いません。

8. 「そろそろ終わりたい」も、大切な相談になる

何度か通ったあと、「少し楽になったので、もう終わりたい」と思う日が来るかもしれません。反対に、「思ったほど変わらない」「時間や費用が負担になってきた」という理由で、続け方を考え直したくなることもあるでしょう。

カウンセリングには、どの方法にも当てはまる共通の終了回数があるわけではありません。目の前の問題への対処を考えるのか、これまでの心の動きを長く振り返るのかによって、期間の見通しも異なります。最初に予定した通りに進んでいるかを、途中で確かめていくことが大切です。

東畑開人さんは、終わりたい気持ちが出てきたら、その理由を担当者と話し合い、どんな変化があったかを振り返る過程を重視しています。始めた頃に毎日困っていたことは、今どうなっているでしょう。前よりできるようになったことは何でしょう。まだ残っている問題や、新しく気づいた困りごとはあるでしょうか。

「もう一人でやれそうです」と「続けたいけれど通うのが難しいです」では、次に考えることも違います。「話したあとにつらくなる」「担当者の説明に納得できない」と感じているなら、それも続け方を見直す理由として話せます。終わるか続けるか、二つの選択肢だけを急いで決める必要はありません。

担当者が継続したほうがよいと考えることもあります。それでも、終えるという本人の意思は尊重されます。終えると決めたときには、何が変わり、どんな課題が残ったのかを確かめておくと、その後の暮らしを考える手がかりになります。

受ける前に、自分の困りごとを全部説明できなくても構いません。けれども、何のために、誰と、どんな方法で取り組んでいるのかは、始めたあとも一緒に確かめていけます。カウンセリングを受けるとは、その話し合いにも参加することです。

よくある質問

Q. カウンセリングでは、話したくない過去の出来事も話さなければいけませんか?

過去の人間関係や経験を丁寧に振り返る方法もありますが、初回からすべてを話すことが前提ではありません。「そこは今、話したくありません」と伝えるところから始められます。どこまで、どのように扱うかも担当者と確認して構いません。

Q. 心療内科でカウンセリングを受ける場合、保険は使えますか?

心理職との面接がすべて保険診療になるわけではありません。保険診療の認知行動療法には、対象となる病気や実施体制などの条件があります。自立支援医療を利用していても、保険対象外のカウンセリング費用は軽減の対象になりません。申し込む施設で料金と適用条件を確かめてください。

Q. 担当者と合わないと感じたり、途中でやめたくなったりしたら?

「話しにくい」「この方法が合わない気がする」といった感想も伝えて構いません。その理由を一緒に考え、方法や目標を見直すきっかけにできます。担当者と意見が違っても、続けるかどうかについて本人の意思は尊重されます。

参考にした資料(要約・再構成。原文の転載ではありません)

  • 『カウンセリングとは何か』東畑開人、講談社、2025年
  • 『カウンセリングを語る(上)』河合隼雄、講談社、1999年(文庫版)
  • 『Cognitive Behavior Therapy: Basics and Beyond, Third Edition』Judith S. Beck、The Guilford Press、2021年
  • 「心療内科」吉内一浩、厚生労働省 e-ヘルスネット、2025年更新
  • 「公認心理師法」厚生労働省掲載資料、2016年
  • 「公認心理師法第42条第2項の運用基準」文部科学省・厚生労働省、2017年
  • 「Cognitive behavioural therapy (CBT)」NHS、2025年
  • 「心理カウンセリングのご案内」洛和会音羽病院
  • 「カウンセリング外来」日立総合病院
  • 「令和8年度診療報酬改定・医科点数表の留意事項通知」厚生労働省、2026年
  • 「自立支援医療(精神通院医療)について」厚生労働省

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執筆・監修

精神保健指定医 野口晋宏

春日メンタルクリニック院長。精神科・心療内科の診療経験をもとに、受診前の不安や制度の疑問を整理しやすい情報提供を心がけています。

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