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強迫観念と強迫行為の具体例

[2024.10.19]

強迫観念と強迫行為について

みなさんは、何かが頭から離れないと感じたことはありませんか?例えば、「ガスの元栓をちゃんと閉めたかどうか」が気になって、何度も確認してしまう、あるいは「ドアノブが不潔なのではないか」と感じ、触るのをためらってしまうことがあるかもしれません。このような考えが強迫観念と呼ばれるもので、誰にでも起こり得るものです。しかし、それが日常生活に支障をきたすほど頻繁に起こる場合は、注意が必要です。

強迫観念の具体例

強迫観念は、多くの人にとって理解しがたいものかもしれません。しかし、患者さんにとってはこれが日常的に頭を支配する厄介な考えです。以下のような例があります

1.汚れや感染に対する不安

  • 「ドアノブや公共のものが不潔に感じる」
  • 「外出するたびに、家のガスの元栓が閉まっていないのではないかと心配になる」
  • 「人が集まる場所で、エイズやその他の感染症にかかるのではないかという不安が頭から離れない」

2.自己や他者を傷つけることへの恐れ

  • 「自分を傷つけてしまうのではないかと考え、ナイフやフォークを使うのが怖い」
  • 「尖ったものや窓ガラスのそばを通るのが怖い」
  • 「赤ちゃんを殺してしまうのではないかといった恐怖が頭に浮かぶ」

3.事故や不意の行動に対する恐怖

  • 「駅のプラットホームに立っていると、突然列車に飛び込んでしまうのではないかという考えが止まらない」
  • 「公共の場で突然卑猥なことをしゃべってしまうのではないかという恐れ」

4.道徳や性的アイデンティティへの不安

  • 「自分の行いが本当に道徳的に正しいのか、心配で仕方がない」
  • 「何の根拠もないのに、自分は同性愛者ではないかと悩む」

5.物や情報への執着

  • 「無用なものでも将来必要になるのではないかと考えて捨てられない」
  • 「机の上の本がまっすぐに置かれていないと気が済まない」
  • 「電話番号や車のナンバープレートを正確に覚えていないと不安になる」

これらの強迫観念は、患者さんにとって非常にストレスとなり、そのストレスから逃れようと、あるいは不安を軽減しようと特定の行動(強迫行為)に駆られます。

強迫行為の具体例

強迫行為とは、強迫観念に伴う不安を解消するために行われる、繰り返しの行動です。これらの行為は時に非常に時間を要し、日常生活に支障をきたします。以下は強迫行為の具体例です

1.過度な清潔へのこだわり

  • 「汚れたと思うと、手を長時間洗い続ける」
  • 「儀式的にシャワーを浴び続ける」
  • 「台所を執拗に掃除し続ける」

2.確認行動の繰り返し

  • 「家の鍵やガスの元栓を何度も確認する」
  • 「人を傷つけてしまったかどうかが心配で、電話で確認する」
  • 「重要な情報を忘れたのではないかと心配で、何度も確認する」

3.決まった回数や形式にこだわる行動

  • 「同じページを何度も繰り返し読んでしまう」
  • 「特定の行動を決まった回数行わないと気が済まない」

どのように対処すればよいか?

強迫観念や強迫行為が日常生活に影響を与えている場合、専門的な治療が役立ちます。治療には、薬物療法や認知行動療法(CBT)などがあります。特に、強迫観念に対する正しい理解を深め、無意味な行動を減らすためのサポートを受けることが大切です。

「こんな考えを持つのは自分だけなのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれませんが、実は多くの人が同じような悩みを抱えています。思い切って専門家に相談することで、生活の質を向上させることが可能です。

強迫観念や強迫行為が気になる方は、ぜひ一度、クリニックに足を運んでみてください。お話を伺いながら、最適な対策を一緒に考えていきましょう。

執筆・監修:精神保健指定医 野口晋宏

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